肉体決済 〜レイが全てを売り渡した放課後〜



16.肛辱、綾波レイ

『……んっ、ぁ、あっ……ぁ……』
 はあっ―― と息が詰められ、可愛らしい喘ぎが吐き出される。
『ぁ、ぁん……、ぁ、あ……』
 ノートパソコンの画面の中では白いヒップがむき出しで突き出され、ひくりひくりと力みを繰り返していた。
 強調しておくに足るほど、真っ白な色をした雪肌の尻である。
 そして、その向かって左の尻たぶにかけられた手だ。一目見て明らかな、男の手。それもまだ成人に至っていない、少年のものと判別できる。
 その手に鷲掴みにされたヒップの持ち主は、地面か床か、とにかく下に敷かれたタオルケットの上で四つん這いの姿。
 ―― いや、片手は股間に回され、そのままにしておけば丸見えの性器を覆い隠している。三つ這いと言うべきか。
 服は身につけていない。
 黒いソックスと、日本の義務教育課程でよく履かされるタイプのズック靴のみ。
 おそらくは所属する学年を示しているのだろう靴底の色は緑。つま先でタオルケットを掻き、靴底は左右共にこちらに向けられている。
 かぼそい吐息とともに身もだえする都度、肉付きの薄い背中で肩胛骨の形がくっきりと浮かび上がる。
『あっ……ぁ、あん、ン、ぁあん……』
 少年の手が、彼女のアヌスに卑猥な器具を使っていたのだった。
 アナルプラグ。言葉の通り人の尻穴に差し込み、蓋をしてしまう道具。ひいては、サイズを取り替えながら肛門を拡げていって、元のままでは到底入らない物でも差し込めるように作り替えてしまうため使う物だ。
 最後までをずぶりと入れた時に蓋になる底部分は平べったい皿がくっついているだけだが、完全に抜ききった時現われる全体像は、黒いゴムで出来たおしゃぶりにも見える。
 言ってしまえば「大人のオモチャ」。
 慄えを帯び、猫の鳴き声のように鼻にかかった―― 甘えているとも聞こえる喘ぎは、彼が押し込んでいる紡錘形のそれの動きと連動していた。
 つやつやとして黒い光を放つ肛門拡張具の胴回りは、握る少年の親指よりも随分太い。
 そして、「大人の」と冠された道具を扱うには早過ぎるだろう歳を窺わせる少年の手のひらもう片方が捕まえているヒップの、こちらもまだまだ女性としての成熟ぶりにはほど遠い様子と比較しても。
 彼女は、真実「少女」と呼ばれる年頃なのだろう。
『ん、んぅぅぅ……。ぁっ、ぁ、あー』
 録音に使ったマイクが安物だったのか、妙に平べったい調子でスピーカーから流れる声も若いというよりは幼い。
 カメラが撮影するフレームの中には背中の半ばまでしか収まっておらず、顔のつくりの確認こそ出来ないものの、被写体の腰回りは華奢の一言。タオルケットに膝を突く両肢もなんともほっそりとしている。
 中学生、高校生が使うようなズック靴を履いていても、コスプレであれば付きまとうはずの不自然さ、わざとらしさが無い。これはもう本物の高校生、下手をすれば中学生なのではと思わせるぐらい、しっくりときている。きっと彼女が普段、学校生活の中で履いている物であるに違いない。そう思わせる。
 そんな少女に、染み一つない初々しい肌のヒップに使われているどぎついセックス用の調教グッズ、アナルプラグ。
 これは酷いギャップのある構図だ。
 うら若き純白の肌に添えられれば一際存在の禍々しい黒色樹脂製の、そして太すぎるのではないかという責め具は、押し入れられば『んぅ、ぅ……ぅうう〜』とその無理矢理ぶりがアヌスの縁を飾る菊皺をそっくり巻き込んで、中へ中へ沈み込む。
 みっしり本体全てを少女の肛門に詰め込まれ、内側から周辺をぱんぱんにさせた次は、ゆるゆると引き抜かれていく番。
 少年の手が大きく喘ぐ尻たぶを押さえ、『ぅあ、ぁ、あああぁ……っ』と今度は先ほど押し込められていた菊門の皺が引き延ばされて出て来るほど、また無理矢理に引きずり出される。
 そうしたら、息を整えるほどの間を置いて繰り返しだ。
 プラグの先を咥えたままのアヌスが息継ぎのようにひくつく具合さえよく分かる映像には、割り広げられた尻たぶと尻たぶの間の谷間に流れる汗の滴さえがはっきり捉えられていた。
 ゆるり、ゆるり。ゆっくりとゆっくりと。しかし執拗にプラグの抜き差しは続けられているのである。
 映像の再生は途中早送りを含んでいたが、プレーヤーソフトによる時間表示を信じるなら、最低でももう一時間近くは。
 背中よりも高い位置に臀部を掲げているのだから、体重の多くを支えねばならない片腕の負荷は幾ばかりか。少女の背中にはびっしりと汗が玉になって浮かんでいた。
 だが、彼女の尻穴に施されている作業をつらつらと眺めさせられていれば、その汗みずくな様は主にアナルプラグの太さのせい、年端もいかない少女の身で不釣り合いに過ぎる太さを飲み込まされる拡張調教のせいだと、見る者は思うのだ。
 これは一種の拷問だ。
 だが――
『ぁ、ぁぁああっ。あっ、あー、ぁ、ぁああンっ』
 少女の声は、たしかに喜悦を訴えていた。
 プラグが押し込まれる。いささか乱暴に、ぐいっと。
 すると『んぅぅぅっ!』と彼女の両膝がたじろぎ、タオルケットに皺を増やす。
 抜く。
『ぁぁ、あー……』
 緊張に詰められていた息が唇からほどけていく声と共に、かるくヒップが揺さぶられる。
 少年を手伝い、自らもプラグの抜かれる方向に揃えてわずかに腰を動かしている。仕草自体は小さなものだったが、見間違えようはない。
 なにより、うっとりとした少女の喘ぎがその推測を補強するのだ。
『ぁぁあ……は、はっ、はっ、はぁぁぁんンン……』
 タオルケットにぽたぽたと落ちている汗の滴。それは本当に汗だけだろうか。
 彼女がずっと隠している秘部の様子はいったいどうなっていることやら。
 いや、性器を見られまいと押さえている手だって、実はそう装ってこっそりその下の部分をさすり、自慰を行っているだけなのではないか。
 そうして、カメラの視点が変化をみせる。
―― っ、ぁうン』
 きゅぽん。そんな音が聞こえてきそうな勢いでプラグが引き抜かれた後にと、焦点が合わされていく。
 クローズアップされた少女のアヌスは、若さだからだろう―― すぐさまに口を閉じようとしているところ。締まり悪く、開きっぱなしになる気配は無い。
 けれどカメラには完全に閉じきる前の数瞬が収められていて、月見団子さながらに白く艶やかなヒップにそこだけ鮮やかな赤みが集まった後肛の、ぽっかりと黒い穴が開いていた光景が、見る者の目に明瞭に提供されていたのだった。

 ―― これはもうきっと、経験済みの尻であるに違いない。
 この手のポルノムービーを見たがる人間、入手する人間なら、そう睨んだことだろう。
 不届きにも、まだ酒もタバコも買えないようなガキ同士でいちゃいちゃ乳くりあって、挙げ句の果てにどこで知識を仕入れたのかこんな変態プレイ、アナルセックスにまで手を出していやがる。どこの小僧か知らないが上手いことやりやがったな。
 と、初々しいばかりの尻肉をほじくり回して良いように喘がせている少年を羨むのだ。
 ほどなくして、この早熟すぎるポルノ出演者もまた下卑た勘ぐりを自ら肯定した。
 ザザ、ザーッ、ザザザザ……!
 突然音声に混じった雑音が何事だと戸惑わせるのも束の間、
『……え? な、なに……?』
 身じろぎをした少女の、振り返った気配。
 そしてまた雑音。
『……ええ、そう。そうよ……。あなたの、言う通り。とっても……気持ち良いわ……』
 雑音と少女の言葉とが交互にかわされ、この雑音が少女の話している相手の声にわざと被されたものだと悟らせる。
『そうなの。おしりが……こんなに気持ち良いなんて。ぁ、ぁ、あなたの……おちんちん、入れられて……はじめて……知ったの』
 羞じらいで一杯の声だ。
 けれど、かすれたように小さくながら、少女ははっきり答える。
『きょ、今日も……入れて……』
 わたしのお尻を、あなたのおちんちん専用に調教して―― と。
 映像の最後は、ゆっくりと立ち上がった少年がジーッとチャックを開けて取り出した勃起の、子供のくせに妙に黒ずんだ様だった。
 手を突き、膝を突き、秘所だけは隠して少年を誘う純白のヒップの持ち主。少女の汗みずくになった尻肉に彼が挑み掛かる寸前でプレーヤーソフトは再生を終わらせたが、誰もがその後に展開されただろうアナルファックシーンを脳裏にくっきり思い浮かべたに違いない。
 これは、そういう記録動画だった。



◆ ◆ ◆



 ぱたんと音を立てて、机の上に置かれていたノートパソコンの蓋が閉じられた。
 綾波レイは呆然と呟いた。
「知らないわ……」
 わたしは、知らない。
 きゅっと制服のスカートの裾を掴んで、赤い瞳が今のは現実のことか幻かとでもいうかのごとく、瞬きを繰り返す。
 録画されていた光景自体にはレイは覚えがあった。
 新たな契約を結び、乳房と共にその尻肉の所有権をケンスケに譲り渡して以来続けられている卑猥な「支払い」の、いつかの日の分。
 今週か、先週か、あるいは更に前の週か。どの日とは最早これだけでは特定出来ない。それぐらい繰り返されてきた中の、一コマを切り取った代物だろう。
 しかし、レイは未だケンスケのペニスを受け入れたことはないのだ。性器には勿論、アヌスででも。
 ましてや、この動画に収められていたように甘えた声を上げて尻穴調教を歓び、あまつさえもう何度もアナルセックスを経験しているのだと言ってのけたり、自分から求めたりなどした覚えはない。する筈がない。
 いくら三日と空けず毎度朦朧とするほどに責め嬲られ、自分でも思い出したくないほどの不覚をとってしまった日があったとしてもだ。
 
「……これは、誰? 誰の声なの?」
 疑問の行き当たる先が見付かるまでに、そう時間は掛からなかった。
 たしかに、一度機械を通して第三者の位置から自分の声を聞けば、それは別人の声ではないのだろうかと違和感を覚えるものだ。
 宙を伝わってきた音を鼓膜からだけで聞くのと、自身の頭蓋に直接響く分を入れて聞くのとでは随分違う。
 であっても、レイも人型決戦兵器エヴァンゲリオンのパイロットであった少女。幾つもの戦闘、訓練、実験に参加した経験がある。その記録映像に接する機会も幾らでもあった。
 それらの中で見聞きした「ファーストチルドレン」が発言するシーン。その記憶を探る。
 眉間に皺を寄せて懸命に、レイは思い出そうとしていた。
 検証する。
 検証する。
 ―― 結論は否だ。
 わたしの声では、ない。
 であれば、だった。

「ご名答。って程でもないか。声は別撮りさ。良く出来てるだろ? 演技してもらったらびっくりするぐらい綾波に似てる声の子がいてさ」
 じっと視線を注ぎ続けるレイからモバイルノートを取り上げるように机の奥へ押しやって、ケンスケが彼女の耳元でおどけてみせる。
「ま、全然違う声の子でも買うやつは綾波のこと知らないわけだろ? 何も気にせず本人だろうって思って喜ぶんだろうけど、そこはそれ、せっかく声を当てるなら拘ってみようかな〜とか思っちゃったわけ」
 ケンスケが言うには、その「レイ似の声の子」にビデオを見て貰いつつ、ビデオに映る白すぎる肌を持った女の子と同じタイミングで息を荒げ、同じタイミングで喘ぎ、それから打ち合わせておいたセリフを喋ってもらったのだという。
 いかにももっともらしく情感たっぷりに演技するべく、この時の被写体の気持ちを理解するため工夫と努力をしながら。
 ―― この『工夫と努力』を口にする時のケンスケの顔は、実に厭らしいものだった。
「ひひ、やっぱタイミング合わせるのって難しいらしいじゃん? 盛り上がってくると画面に合わせてって言ったのも上の空になってくるしさ。リクエストもしてないのに『イクぅ〜、イッちゃう〜』とかうるせーし。それって、綾波とノリ違うもんな」
 そこにああだこうだと注文を付けてリテイクを重ね、ケンスケの思うところの綾波レイらしさを再現して作り上げた。彼は得意げにそう説明した。
 
 わたしはこんな風にいやらしく甘えた声で喘いだりはしていない。
 レイは思ったが、重要なのはそこではなかった。
「……買う? 売ったというの? わたしの、わたしを撮ったビデオを!」
「まぁね。売ったというか、本番なんて映ってないし、顔も出てないんじゃネットに流すエロ動画としちゃ二級品だからさ、『今度こういうの出しますよ』って案内代わりに、お得意様方の間にだけ、ね」
「それは……! ッ、―― ッぅぅっ」
 言葉の合間にいじくられていた胸の先が、少年の指の間で引き延ばされていた。
 ぐいいっと引っ張られて、そして揉み潰される。
 ケンスケは後ろからぴったりレイにはりついていて、録画を見せている間中ずっと、ブラウスからすでに取り出されていた美しい双乳を揉みこねつつ、スカート越しのヒップにいきり立つ物を擦りつけていたのだった。
「文句なんて無いよなぁ? コレとか、このケツとかさ。俺の、だぜ? 俺の。たかだかビデオ撮って売るぐらい勝手だろ。綾波の顔なんて映ってないんだし」
 ふてぶてしい口ぶりの彼は、普段はあれだけ慎重であるのに珍しくスボンとトランクスを完全に脱ぎ捨てている。美しい同級生の柔尻との間で挟まれ完全に上を向くペニスはむき出し。上半身もTシャツだけのラフすぎる姿だ。
 誰かの乱入に対する用心を捨てているのは、そこが彼の家、彼が普段使っている部屋だからだった。
 
 ―― 今日のレイは、相田ケンスケの自宅に連れ込まれていたのである。

 ケンスケの部屋は壁という壁に棚が組まれ、窓も大部分が塞がった状態。
 休日の昼で外はまだ明るいばかりなのにカーテンが締め切られ、代わりに天井の照明にスイッチが入れられている。
 あまつさえ、あの写真部室から運び出したのか、それとも自宅にも予備をたっぷり持っていたのか、傘付きのライトが取り付けられた撮影用照明スタンドセットまでが準備万端。殆ど林立と言って良い有様で用意されていた。
 おぞましいことに、それらは全て照らす先をケンスケのベッドに向けてあるのだ。
 まだケンスケは言葉にして告げてはいないのだけれども、今日はそこでとレイにはっきり示しているのも同じ。
 ベッドの上は毛布が片付けられ、ごちゃごちゃとした室内で只一カ所すっきりと空間が確保されている。
 シーツは取り替えられたばかりらしい、清潔な白。
 すぐ脇のパソコンデスクの上からはモニターや細々とした機器類がコードを繋いだまま手近の棚に移され、代わりにダンボール箱が一つ置かれていた。
 中にはここ暫くで嫌というほどレイも知識を植え付けられてしまったアダルトグッズが、ごちゃごちゃと詰め込まれてあるのが分かる。
 小さめのピンポン球が数珠つなぎになった風の道具、アナルビーズ。通常のバイブレーターよりもよりも細身に作られたアナルバイブ。いまや見慣れたアナルプラグが数本。犬か猫を模したらしいふさふさの尾が付いたアナルビーズ、なんてものも。それから、たっぷりとローションの入った大型ボトル。
(全部……)
 揃えられた内容を見るだけでレイの憂鬱さは増す。
 全てがレイのため、レイの尻の穴を使った変態的なプレイ用の準備だった。
 そしてすぐ耳元から、うなじに掛かる近さで吐き出されている相田ケンスケの生暖かい吐息。
 胸では延々と刺激を与えられ続ける乳首がじんじんと疼いている。乱暴にひねり潰された感覚が、ふっと指の力を抜かれたことで薄れていく―― その薄れきらない内を捉えて、じわり、じわりとまたこね回してくるのだ。
「っ……、っ……」
 ケンスケのこの手つきは、レイの乳輪より少し外側をぎゅっと掴み、ひしゃげて絞り出された先端部分をこりこりと圧し転がして、摘み、嬲るものだった。
 色素が薄いせいで透き通った桜色だった小粒の乳首は、すっかり赤く充血してしまっている。
 レイは苦痛と嫌悪に、顔をまた歪めた。
 苦痛の他にもケンスケの愛撫によって生み出されてくるもの、それもまた嫌悪の対象であって、より一層レイの眉間の皺を深くさせていた。
「……ぅ、うぅぅ、ぅ、……ん、んんっ……」
 そうやってレイを呻かせておいて、ケンスケは言うのだ。
「それからさ、綾波。綾波はずっと自分じゃそんな風にしちゃってるつもりなんて無かったかもしれないけど、今までも充〜分、エロい声してたんだぜ? いやほんと、チンコびんびんにおっ勃つっつか」
「……ううっ、っぅああっ」
「今のそれでも、充分ね」
 いひ、と屈辱に熱くなる耳朶に嘲るような笑い方を吹き込んでくる。
「……くぅっ……」
 気分が悪くなって仕方が無い。それでも耐えねばと、レイは拳を握りしめた。
 淫猥な悪戯の数々を尽くしてくるケンスケの前では意地でも性的な反応は見せまいという決心があるからだが、普段から愛想というものがないレイは、より以上に彼との時間の間は険しい顔をしているのが常だ。絶えず眉間には皺が寄せられ、唇はへの字に引き結ぶように。目付きは険悪そのもの。
 ケンスケの望んでいる反応、恥知らずに蕩けた表情、そんなもの絶対にしてみせたりはしない。
 こういった心積もりでいるのがはっきり顔に出ているのである。
 だがケンスケは教えてやったのだった。
「我慢できてたと、思ってた? くくっ、かぁ〜わいいよね」
 抵抗には所詮なんの意味も無かった。結局はしっかり、レイもポルノ映像の主演女優合格であるいやらしい演技をしてしまっていたのだ。
 そう、ケンスケはあれやこれやレイにも覚えがあるところを指摘していく。
「綾波ぃ〜。声が大っきかろうが、小さかろうが、喘いじゃえば一緒なんだぜ? ほ〜ら、乳首もみもみ」
「ぅう、……っ、っッ」
「ほれほれ、今の声。エロいよね。マイクもちゃんと拾ってるって。……へへ、分かってるぜ〜? 綾波にとって真似したくない一番のお手本はあいつなんだよな。こないだの契約の日に、ケツ穴オナニーのお手本やってもらったモデル子ちゃん」
「……しらない、わ」
「またまた、天下の優等生様が忘れるわけないってのに。あいつみたいなアヘアヘ声でよがったりしたくないってんで、頑張ってるつもりなんだろ? 頑張ってるつもり、なんだよなー」
「ぅぁ、ぁ、ぁ、ああ……」
「でーも、おっぱい揉み揉みされて乳首いじられたらほら、壱中きっての冷血女さんもちゃ〜んと乳首立ってるし。ケツ穴丁寧に丁寧ぇ〜にほじくられたら、股も濡らしちゃうんだよな。良かったよなぁ、綾波。お前にふられた奴らとかが言ってるみたく不感症じゃなかったってはっきりしてさ」
 『最近じゃもう、濡れ濡れだし』と、ぐっと股間を押しつけるケンスケ。
 その先には、スカートを一枚通してレイのアヌスを塞ぐプラグの硬さがある。
「今度そんなこと言ってるやつがいたらさ、俺がきっぱり否定しといてやろうか? 綾波レイさんは不感症なんかじゃありません。ケツで気持ちよくなれる逸材ですって、俺が証人だーってさ」
「余計な、お世話……だわ」
「あそぉ〜お? いやいや、俺も頑張っちゃったもんね。今日までじっくり綾波のケツ穴、エロエロになるように下拵えしまくりだったし。ほんっと、嬉しいよ。綾波もケツ穴ほじくられる良さってもんに、ちゃんと目覚めてくれたからさぁ」
 『……先週から使ってやってるアナルビーズ、お気に入りだろ?』などとせせら笑うケンスケの、訳知り顔の言葉。それこそ、かっと顔を赤くしたレイにとって、認めるわけにはいかないことだった。
「一気に引き抜いてやると気ン持ち良ぃ〜んだよな? 昨日もそういう声出してたろ。今日だってちゃんと用意してるって。喜んでくれよ」
「……わ、わたしは……!」
「ま、俺的にはまだ、まだまだ―― あの日の、綾波がモデル子ちゃんのケツ穴アクメにビビりながら、あひんあひん啼いてくれてたビデオがエロさじゃ一番の出来だと思ってるんだけど」
 であっても、足りない部分があるなら足りないなりに工夫を、補ってやるものを付け足せば良いだろう。こう考えて試しに作ってみたのだとケンスケは先の動画について説明したのだった。
「綾波みたいなクールな子が尻とかおっぱい丸出しで必死になって耐えてる顔とか声とかさ、ほんとならそれだけそのままでもばっちりOKなんだけど、商品としちゃ“あざとさ”ってのが要るかと思ってね」
 声の吹き替えまでしておかしなセリフを付け足したのはその程度の理由からだと言って、素材のままでの―― レイ本人の演技だけでも、自分としては十二分にスケベな出来だった思っていると嫌な褒め方をして。
 レイに出来ることはもう、呻きの一つもこぼすまいと唇を噛みしめることだけだった。
 無駄なあがきだと、幾度となく悔し泣きで思い知らされていても。
 
「綾波はさぁ〜」
 いよいよその姿勢は後ろから抱き締めるように。肩を強ばらせて立つレイの両脇から手を差し入れ、好き放題にふたつの乳房を弄び、そして華奢な肩に顎を乗せて、ケンスケは直に耳に囁きかける。
「あいつらみたいにはなるもんかって、そう思ってるわけだろ? 他の“お客さんたち”がさ、俺と長ぁ〜いお付き合いしちゃってる内に、なんかもう完璧ドスケベの変態女になっちゃってるの知っちゃって」
 『色々見せてやったもんな。この間の、アナルオナニー狂いの姉ちゃんとか』と、レイにとってもひどいショックだった一件をまた蒸し返す。
 あれではじめて、レイは性的にはさして価値の無いと思っていた臀部を、彼の好きにさせる契約を結んでしまった愚かしさに気付かされたのだ。
 同時に、排泄のための器官を使ってさえ快楽に溺れてしまう女の性の恐ろしさにも。
「……で」
 そしてケンスケはレイに訊いた。
「こんなビデオ、まず見せてやった意味は分かってるんだろ?」
「……!」
 びくりと震える彼女に『予告ってわけさ』と、今日までじっくり日にちをかけて、そのちんまりとした菊のつぼみのような肛門を拡張開発してきた彼が言うのである。
「今日―― そういよいよ今日だよ、綾波ぃ。俺もよく我慢できたよな〜。いや待った、待った。我ながら驚きの忍耐力だね」
「っッ……」
「あの声優さんが演技してたみたいにさ、今日、してやるから。つまり、あ〜んな風に綾波に『おしりの穴、気持ちいいわ……!』って言って貰おうって寸法なわけ」
「……ま、待って……」
 ようよう絞り出した、レイの哀願の声。憎むべき少年に、お願いとまで言いかけたレイを、
「待たない。……あ、やっぱ待っても良いかな? それでまた一つ、なんか新しい契約結ぼっか?」
 終始無慈悲にからかいつつ、いよいよケンスケは声を掛けたのだった。
 『さ、ベッドに行こうぜ』と。
「カメラも照明もばっちり準備OK。あとは主演女優と男優が舞台に上がるだけってことでさ」
 馴れ馴れしく美しい同級生の強ばった肩を抱いてぐっと、一向に足の動こうとしない彼女を押しやるように。
「い、いや……」
「嫌もクソもないだろ? こいつは、俺のものなんだから」
 肩から下ろした手で尻込みするヒップラインをがしっと鷲掴みに、華奢で羽かと思うほど軽い体を自分のベッドへ追い込んでいく。
「あっ」
 寝台のスプリングをきしませ、シーツの上に転がされるレイの半身。
 跪く格好でベッド際に残された腰から下も、ケンスケは抱えこんで持ち上げ、本格的にベッドへ横たえてしまった。
「脱がすぜ」
「あああっ」
 俯せにされて、制服のジャンパースカートが捲り上げられる。か細く、羞恥の悲鳴が漏れた。
 レイの尻たぶを包むのは、安物も良いところの無地のショーツだ。そして薄い生地では誤魔化せるはずもないゴム栓状のでっぱりが、臀部を持ち上げた姿勢をとらされたことでぴっちりと少女の持つ曲線に張り付いた中央に浮かび上がる。
 双臀の狭間に半ば埋もれていても、そのあからさまな異物感が見る者の目を逃れるわけがない。
 日を追うごとにサイズを大きなものへと変更されてきたアナルプラグの径は、すでにケンスケの勃起と変わらない太さにまで至っていた。
 レイの肛門からはみ出した底蓋のサイズも、それ相応の大きさだ。
 これを終日付けたまま、特に学校生活を送るのはさぞかし大変なことだったろう。
 もう十分だよなというケンスケの判断が、この背中も肩も腰つきも―― どこかしこもが痩せぎすで壊れやすそうに出来ている一方、繊細なバランスの上に美を成立させているアルビノの女の子の中で、一ヶ所、いびつで異様な光景となったそこを確認して、改めてのものとなる。
「心配すんなよ、綾波。お前のここ、ケツの穴はさ、もうちゃんと俺専用に仕上がってるんだからよ」
「くぅっ……」
 そして、そのプラグの底の形が浮かび上がった下に突き出された、少女の陰阜に連なるやわらかそうな盛り上がりの部分。ショーツの船底に認めることが出来たのが、もう一つのケンスケの成果、この部屋に連れ込んでからずっと愛撫してやっていたことではっきりと現われた、レイの受け続けた強制官能開発の結実だった。
(……へへ。染み、作っちゃってるじゃんか)
 あえて指摘してはやるまい。
 しかしケンスケは、最初は学術書の記載以上の性なんて知りもしなかったこの無口で強情な同級生が、バストを愛撫してやった間密かに作っていた楕円の愛液の滲みを、どこまでも誇らしげなトロフィーを見るように一時、眺め続けたのだった。
 それも、最後の防壁となったショーツを後ろから引き下ろし、つるりとしたヒップを露出させてしまうまでだ。
 
―― っ!」
 レイはそれでも、堪えようとしていた。
 ケンスケがすべらかな尻肉を直に撫ぜ回し、谷間を暴くかのごとく双臀を左右にかき分け、何かを確かめるつもりでもあるのかゴム底の上からぐいぐいとプラグを押し込んできても。
 そして、ずぽりと一息にプラグを引き抜かれてしまっても。
「はぁぅ……ッ!?」
 レイはベッドに顔をうずめて隠し、さらに口元を押さえて耐えた。
「ぅ、ぅうっ、ぅぅぅ……」
 ケンスケの体臭の染みついたベッドだ。だが今は気にする余裕もレイからは奪われつつあるのだった。
「へへ……」
 にじり寄る気配があり、鼻息と思しきそよぐ感触が掲げ上げた尻朶に当たっていた。
(彼、見てるわ……)
 さらにケンスケは両手を使い、レイの双臀をかき分けてきた。
 つきたての餅のような尻たぶが左右に開かされる。
 さらには肛門も。
 尻穴の窄まりはこの瞬間、「窄まり」では無かった。
 今の今まで太いアナルプラグを咥えこまされていた場所だ。年端もいかない美少女の―― たとえば場末の売春婦の体のだらしなさ等とはほど遠い―― アヌスであっても、この瞬間はぽっかりと口を開けて直腸壁の鮮やかな色を撮影用ライトの強い光の下に晒している。
 本来であればきゅっと閉じているはずのアヌスの菊雷。漂白されたかの白さの肌を持つレイでもここばかりはセピア色にひずんでいるのだが、しかしプラグによって拡張されたまま未だ閉じずにいるその内側は、意外なほどの透き通ったピンクを覗かせていた。
 
(乳首とかと同じだな)
 ケンスケは視線を動かし、尻たぶをかき分けたのにつられて唇器官を緩ませたレイの秘部と見比べた。
 ここも美しい桜貝の色つやだ。控えめに滲みだした愛蜜によってしっとりと潤んで、より美しく見える。
 彼が毒牙に掛けてきた洞木ヒカリや山岸マユミ、霧島マナといった少女たちも勿論、穢れを知らない美しい色の性器だった。ただ、黄色人種である彼女らよりもやはり白人である惣流・アスカ・ラングレーの方が透き通った色を持っていたのであり、さらにアルビノという特質を備えたレイがまた別種のではあるものの同じくらいピュアな色をしていたというだけのこと。
「……そんなに、見なくても……」
「恥ずかしがるなよ、綾波」
 嫌で嫌でたまらないとヒップを震わせるレイにケンスケは言った。
「綺麗だぜ? これぞまさしくバージンホールってやつだってば」
「……っっ」
「おっと。勿論、綾波のはマンコだってまだ全然綺麗な色してるって。こっちはもうバージンじゃないわけだけどさ」
「ッぁう!?」
 ちょん、と。からかい程度に彼の指が綻んだ花びらの狭間をつつく。
 覿面、レイは色っぽい声を上げて背筋をのたうたせた。
 女の子にとって最も感じやすい器官だ。愛液を滲ませるほどに官能を高められていれば、さぞや鋭く背筋に走った刺激だったことだったろう。
 ほくそ笑まずにはいられない。
「さわらないで……!」
「おおっと、ごめんごめん。ついね、つい。綾波のマンコがほんと、全然まだ処女みたいだよなーって思って。へへ」
 誠意のない謝罪をするついで、『大丈夫、大丈夫。シンジだって疑ったりしないよ。そんな日が来たら、安心して見せてやれば良いんじゃない?』とも付け加える。
「あ、あなたは……! また、そんなことを……っ」
 いちいち、いちいち、必要もないだろうにいじわるを言ってくるのだ。自分の所有物にしたと言い放って恥じないこの胸を、尻を、オモチャにして弄びたいのなら、黙ってそこだけに構っていれば良いのに。
 悔しさやら恥ずかしさやら、レイがもう目元にじんわり涙さえ浮かべて憤慨するのは、まさしくこれが彼女の泣き所だからだった。
「気にすんなよ、言ってないからってさ。―― っていうか、わざわざ打ち明けることじゃないんじゃね? 『碇くん。わたし、もう処女じゃないの』とかさぁ〜」
「あなたの……せいだわ……!」
「綾波のヘマだろ。俺だってさういう勿体ねーことさせるつもりなかったのに。綾波があんなオッサンなんかの指マンで良いようにあんあん言わされてさ、うっとり夢中になってよがりまくってたのが悪いんだよ。……っと」
「……っッ、ううっ、っ、ッっ……」
 ベッドに顔を伏せるレイが、ぎゅっとシーツを握りしめる。
 自分がもう買い取ったものだからと遠慮をしないケンスケが、つきたての餅のように真っ白なヒップに舌を這わせて舐め回し、ちゅっちゅっとふざけ半分にキスマークを刻み、刻んで、刻みまくってきたからだった。
 益体もない軽口を叩きながらも着々と準備を進めるケンスケが、手にたっぷりとすくったローションを彼女の尻の谷間に、そしてそのぬるりとした潤滑に乗せて突っ込んできた人差し指で、肛門のすぐ内側に塗り込めはじめたからだった。
 すでに入り口は充分に弛緩させられている。伸ばした指は難なくひくつく穴の中に入り込み、ローションをぬるぬるとさせながら前後に蠢いた。
「ぁ、ぁぁう……ぅ、ぅぁ、あ、ああ……」
 ただ塗り込めるというだけでない、いやらしいマッサージの動き。
 ついには、細身のアナルバイブを持ち出し、ぐちゃぐちゃ攪拌するようにレイの尻穴をほじり回し始めたのだった。
 にちゃり、にちゃりと。粘液質の音が響き、ずり下ろされて両膝の間で架け橋のごとく伸びきっているショーツの上にもローションの滴りが落ちていく。
「で、そんだけ上手だったわけ? あのオッサン」
「……し、知らないわ。……ぁ、ぁぁあう!」
 呻くのと共に、顔をもう真っ赤にさせているアルビノの美少女は、膝で這ってのたうち回ろうとする。
 力のこもるつま先で、シーツの上に確かな足場を求めようとする。
 だが、黒のソックスを履いたままだったのが災いしてシーツ生地を滑り、もがけばもがくほど彼女の姿勢はあられもなく乱れゆく一方。
 ひぃぃ……と痛切な声を漏らす顔はシーツに何度も額を擦りつけ、銀の前髪は特にぐちゃぐちゃ。
 ジャンパースカートもいよいよ本格的に捲れ返って、普段は見えない位置であるスカートの中に押し込んだブラウスの裾が、逆にこの格好では丸見えになって垂れ下がっている。
 丸出しのくりっとしたお尻が串刺しにされてガクガクと震えている様子ばかりか、そこからほっそりとした腰回りから臍の近くまでもが見えそうな有様。
   
「も、もうっ……」
 ついにレイは音を上げた。
 我慢を頑張ろうと黙って嬲られていれば、模造男根の抜き差しが容赦無く続き、一度の突き入れで直腸に潜り込む最大深度は1センチ、2センチと深くなってくる。身じろぎするだけで辛いぐらいに、お尻の底が異物感で一杯だ。
 子宮を裏側の近くから揺さぶってくるかの妖しい感覚が、鈍く下肢を痺れさせていく。
 ケンスケに見られている前では辛すぎる反応が、その身にまざまざと現われていってしまうのだ。
 胸の先が張り、シーツに擦りつけているだけでじんじんと気持ちよくなってくる。
 感覚が鋭敏に鋭敏にとなってきた足の付け根の部分も、甘やかな痺れで濡れそぼちだしている。
(ああ、ぁ、ああっ……)
 自身の身に起きている現実と相対することから顔を背けるべくもない。それらは紛れもなく、性感の昂ぶりであった。
 綾波レイとて木石ではなく、もはや乙女でもなく、そしてケンスケの性感開発は年齢不相応の経験に裏打ちされているだけあって、着実なものであった。
 尻をいじられて感じてしまっている現実が、大理石のごとき冴え冴えとした怜貌を苦悶に歪める彼女を更に苛む。
 粗くなる呼吸。ひどくなっていく愛液の滲み出し。見ないでと叫んでしまいたい。
 だが、そうしてしまえば余計にだ。この陰湿な少年の関心を、ほくそ笑みと共にそこに集めてしまうだろう。
 ―― もしかすれば、彼は自分の肛門をいじるのに夢中で気付いていない、かもしれないのに。
 希望的にも過ぎる観測である。
 しかしレイはもう、耐えられなくなっていた。
 じわりじわりと耐える心を削りにくるケンスケの手管―― ことさらに一つ一つのステップに時間を掛けてくる肛姦愛撫や、弱みを突く言葉嬲りの前で、まともな判断力を保ち続けていることに。
 冷静さが残っていれば、自分の体が示す逐一の無様さをいちいち理解していなければならない。
 正気でいるなら、ケンスケのいじわるな言葉を真っ正直に受け止めて、またざわめく心に傷を負わねばならない。
 どの道、このケンスケの家から逃れられるのは彼の立てたスケジュールを全う出来てのこと。
 結末は変えられぬ。
 耐えようとすることで得られるのが、ただ増える心の痛みだけであるのなら、そこに何の意味があるだろう。
(いっそ……)
 正気を手放せば、何も分からなくなってしまっていれば、拷問にも等しい時間の経過を素通りすることが出来る。
(……その方が、楽、だわ……)
 誘惑であった。
 かつて一度、どこまでをという制限無しにケンスケの手に全身を弄ばれた経験。行きずりの男性にモノレールの中で処女を奪われてしまうまでに追い詰められた経験。そして、今日までに集中的に続けられてきたアナル開発の中、幾度となく胸と尻とで果てさせられた経験。
 自失の状態に追い込まれ我を喪ってきた記憶が、悪しき学習結果として純粋無垢であった少女を唆した。
 あれは、あれこそが逃げ場となりうるのだと。
 だからレイは音を上げて、ケンスケに願ったのだった。
「もう……お願い……」
 がくがくと揺れる下肢に鞭打ち、自らもう一度尻を掲げ上げ直して、
「……早く、済ませて」
 犯すなら、犯して―― と。



◆ ◆ ◆



 あの綾波レイが犯してくれとせがんだ。それも、肛姦をである。
 ケンスケは最高に興奮したし、昂ぶりもした。
(やった……!)
 ちゃんと撮れたよなと顔を振り向かせて、ベッドの横に立たせた三脚のビデオカメラを確認もする。
 本当であればもう一押し、この美少女自らに尻穴を拡げさせて、もう一度淫らなおねだりを唱えさせてもやりたかったが、既にケンスケ自身限界だったのである。
「良いぜ。ぶち込んでやるよ、綾波ぃ」
 これは一合擦り合わせるだけも持つかどうか。そこまで疼ききって先走りを滴らせていた勃起の先端だった。
 膨らみきった赤紫の亀頭を、口を閉じられずにヒクヒクと息衝く肛門にあてがう。
「……っッ」
 レイの震える背中に息を飲んだ気配があって、肩を一層縮こまらせたのを確かめてから、
「そ、らぁーッ!」
「っぁぁぁあああぅっ!?」
 ケンスケは鋼のようになった己の欲望を、額に汗を浮かべるレイの肛門の中に一気に滑り込ませていったのだった。
「あ……うぅぅう、ぅ、ぅンンンゥ――
 下準備は万全だと確認してある。ケンスケはコンドームも使っていなかった。
 それが根本まで押し込まれたのだ。
 いくら悪魔的な奸智に優れ、築き上げたハーレムで年齢不相応に下半身を使い込んでいても、ケンスケも所詮中学生。お世辞にも巨程となど呼べるようなサイズではなかったが、犯されている方も中学生の少女。加えて、緊張のあまりに体を硬くさせたレイのアヌスは、みっしりとした感触でケンスケのペニスを締め付けてくる。
 幾人もの女の子の膣を知っているケンスケにとって、使い心地という観点ではそれはどうだったか。
 が、遂にと言うべき美少女の処女地を奪った感慨はひとしおどころではなかった。
「へ、へへ……」
 実感として逸物で感じる。見下ろしてみて、目で確認もできる。
 綾波レイのスカートを捲り上げたお尻の真ん中に、ずっぷりと自分の勃起が嵌り込んでいるのだ。
「分かるかよ? な、分かるよな? お前のケツ穴ン中、俺のチンポが入っちまってんだぜ……?」
 軽く揺さぶってやる。
 今となって見てみれば随分と小柄さが目につく同い年の少女は、喉奥からこみ上げるものを堪えているのか、くぐもった悲鳴を漏らした。
 その小さな呻きさえ、なんと愛らしいことか。
 冷め切った目で見てくれていたあの小憎たらしさ、並ではない拒絶感が壁として設けられていたのが思い出されれば、より一層の愉悦が膨らむ。
 嗤いとなって腹の底から爆発しそうなくらいだ。
「なあっ? おらっ、どうだよ綾波! はははっ、犯してやったぜ。どうなのさ、ええっ?」
 強く突いた。そして、すぐに腰を引き戻し、また深く突き入れた。
「うぅぅッ、う、うっ! ぅあうう……!?」
 あう、ひうっ、と息を散らし、ケンスケの腰遣いにしっかり反応してみせる。その少女は、いわばコレクションのラストピースであった。
(山岸、霧島、惣流……。それで遂に、俺は……!)
 かつてのケンスケが焦がれ、熱望して、手に入れることの叶わなかったエヴァンゲリオンパイロットの座。そこに居た同級生の碇シンジは、常に憧れと嫉妬の対象だった。
 それも、ケンスケの目から見てとても自分よりその資格が上回っているとは思えない、軟弱な少年であったから。そんな少年がエヴァパイロットの地位ばかりか、幾人もの美しい少女たちに想いを寄せられていることなど、とうてい許容出来る事ではなかったのである。
 
 だが、ケンスケはやってのけたのだ。
 碇シンジを慕う美少女たち。かつての同級生である四人を、揃いも揃って毒牙に掛けた。
 そして最後の一人であった、難攻不落のファーストチルドレン、シンジと同じ選ばれたエヴァパイロットである綾波レイのアナルバージンを、穢してやることに成功したのだ。
 
「はっ、ははっ、は、はははは……! 分かんねーよな、綾波。俺はやってやったんだぜ? お前でさ、最後だよ! 完成さ!」
「ああうっ、ぅあっ、ひっ、ひぅ――
「可哀想になぁ。シンジのやつ、もうお前のバージン貰えないんだぜ? どっこも一つも。マンコも、ケツも!」
 (そして次は口のもな)と、こればかりは胸の裡で。
 夢中になって腰を振り、綾波レイとでこぎ着けた感無量のアナルセックスに酔いしれる。
 ケンスケは自分がもういつの間にか射精を始めてしまっていたことにすら、気付いていなかった。
「……ああっ!? で、出て……いるの……?」
 腸壁を削られるひりつきばかりでない熱さ。噴出されたザーメンを感じとったレイが悲鳴を上げた、その意味も、はじめての肛姦であるこの儀式においては折角のことだったろうに。
 何人もの女の子達を泣かせてきた目敏さも発揮出来ぬほどに有頂天になって、ただ飛びっ切り美しい少女の尻穴をほじくり犯せたというのみに留まらないこの意味合い、達成感に、ケンスケは興奮しきっていたのだった。
 
「はぁ……ぁ、ああっ、あっ、あああっ。はや……く、終わらせて……っ」
 がくがくと首を折ってうち震え、犯し続けられるレイのヒップの中心からは、下へ下へと濁った精液が夥しい量で滴り落ちている。
 無毛のクレヴァスに伝って、そこからシーツに広がる染みを成長させていた。
 そんな哀れなアルビノ美少女の姿にも、半分以上は上の空といって良い状態で。
 逆にこの時、レイの方が逃避のための忘我を求めて、むしろ積極的にとも取れるような―― 応じる格好の腰の動きをさせていたことまでも、見逃して。
 「すげーぜ! はっ、ははははっ! 綾波、綾波ぃっ。今日からお前、俺の、俺のチンポのケツ穴奴隷だからなっ。毎日、嫌って言うほど犯してやっから、覚悟しとけよ!」
 興奮に体温を上げ、眼鏡のレンズを白く曇らせている少年は、精神の高揚からくる絶頂感にズキズキとペニスを痺れさせながら、高らかに吠えたのだった。



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Original text:引き気味
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(4)