携帯電話がぴりぴりと鳴っていた。
 ちらりと目を落とす。液晶画面に溜め息をつく。
 手首のスナップで拡げた受話器を耳に当てた。
 「ミサ……葛城さん?」
 「……はい」もういちどミサトは溜め息をついた。ただし内心で。
 「お願いがあるの」その声には断固とした響きがあり、同時に冷ややかだった。「今日、二時間ほど早めに来ていただけないかしら」
 こちらの予定も聞かない。理由も言わない。
 ついにそのときが来たのだとミサトは確信する。
 「葛城さん?」かすかにいらだちの混じった声が、沈黙しているミサトを呼んだ。
 「分かりました。二時間前に伺います……お母様……シンジ君の」
 普段は「ユイさん」と呼んでいる相手に、そう返事をして葛城ミサトは電話を切った。
 「バカね、あなたって」
 「分かってるくせに。さいしょっから」ネコの絵柄の入ったカップを両手で包み、痛ましそうな表情を向ける親友に、ミサトは微笑んでみせた。



告白





 約束の時間に碇ユイは三〇分遅れで現れた。
 だから応接間のドアを開けた瞬間、ソファーに腰掛けている真っ白な長袖ブラウスにタイトスカート姿の葛城ミサトと目があって、ユイは一瞬不意打ちを受けたように硬直してしまう。
 玄関にきちんと揃えて置かれたパンプスを見たときから分かっていたはずなのに。
 「ごめんなさいね、葛城さん、およびだてしたこっちが遅れたうえに、なんのおかまいもしなくて……あの人ったら」深呼吸一つ分の沈黙ののち碇ユイは言った。
 「いいえ、とんでもない」ミサトはぎくしゃくと笑う。「それで……」
 「あ、いま、あの人は?……あ」
 二人の女声がぶつかり合って途中でとぎれた。
 「しょ、書斎です」会話を再開したのはミサトが先だった。「インターフォンを鳴らしたら、その、いらっしゃって、『入って待っていなさい』っておっしゃって、その、あの、あ、あの書斎ってすごいですね。羊皮紙の本がいっぱい……」
 「コーヒーがよろしい?それとも紅茶かしら」早口になったミサトの言葉を押しつぶすかのような口調でユイは尋ねた。
 気まずい沈黙が碇家の応接間を満たした。もちろん碇ユイは気にしない。小さく溜め息をついてから、彼女はコーヒーを入れにキッチンへ向かった。

 とても平常心とはいえない状況で入れられたにもかかわらず、そのコーヒーの香りは葛城ミサトには素晴らしいものに思えた。
 しかし味についてはさっぱり分からなかった。口内でゆっくりと濃密な液体を転がし、強引に飲み下す。
 その様子をユイがじっと観察していることを意識しながら。
 「なぜお呼びしたか、分かるわよね?」唐突にユイが言った。
 「……シンジ君……のこと……でしょうか」ずいぶん長い沈黙ののちに尋ねるミサトにユイはうなずく。
 「もう、あの子に勉強を教えていただかなくても結構よ」
 「……そう……です……か」ミサトはうつむき、ストッキングにくるまれた膝を見つめた。
 「そうよ。そう、いえ、それだけじゃないわ」ユイの語調が厳しくなった。「もう、この家に来て欲しくないの。いえ、シンジと会わないでほしいの!」
 最後の言葉はほとんど叫び声に近かった。
 「あの、書斎にまで聞こえます……」
 「いいのよ、貴女はそんなことを気にしなくても!」ミサトの言葉にユイは猛り狂った。「とにかく、とにかく貴女はあの子を、シンジを誘惑しないで!!」
 「でも……」
 「貴女に弁解の余地なんてないわ!貴女、自分がなにをしたのか分かっているの?」
 ユイの弾劾の言葉が叩きつけられるたびに、ミサトは自分の身体がソファーに沈み込んでいくようだった。
 美貌の大学教授の唇から、息子の家庭教師を責める言葉が吐き出されるたびに、ミサトは頭の芯が熱を帯びていくように感じていた。
 自分がどんなに淫らで、恥ずべき存在であるかをミサト自身も尊敬する女性に責められるたびに、胸の鼓動も高まってゆくのだった。
 だから、ついに碇ユイが、「昨日なんて、昨日なんて、貴女、一日中あの子と一緒だったのね?貴女のマンションで……なんて穢らわしい!」と直接的な言葉でミサトの不行状を挙げたとき、彼女のなかでなにかが壊れたのだった。
 「お母様は、わたしがシンジ君を誘惑したと?」
 「当然でしょう!」ユイはかみつかんばかりだった。「シンジはそんな子じゃないわ。貴女が……!!!」
 ユイの瞳が大きく見開かれた。ミサトがブラウスの袖のカフスを外して両手首を露わにしたのだった。
 そこにあるのはくっきりした縄目の跡。
 「昨日なんて、わたし、ずーっと縛られていたんですの。『カレ』に」ミサトはにっこりと微笑んだ。「後ろ手にがっちり縛られてましたのよ。お母さま。だからわたし、一日中手を使えないままで『カレ』といっしょでしたの」
 「な、なんて……こと……」
 そしてミサトは述べはじめる。熱に冒されたような表情で、どこか壊れたように平坦な口調で。



◆ ◆ ◆




 そうです。最初はシンジ……くんに部屋に迎えに来てもらって、ドライブに行く予定だったんです。
 だけど、玄関でのキスのあとに「お願い」されちゃったんです。
 ポケットから細いロープを取り出して、彼ったらこう言うんです。
 「今日いちにち、ミサト先生は手を使っちゃダメ。僕が全部してあげる」って。
 お母さまもお分かりでしょう?シンジくんに見つめられて、にっこり微笑みながらお願いされたら抵抗なんてできないことを。
 はい。だからわたし、玄関に跪いて縛ってもらったんです。外出着のちょっと可愛いワンピ姿のままで。
 はい、もちろんドライブはキャンセル。わたしのお部屋で一日中過ごしたんです。

 さいしょは映画を見ました。ソファーに隣り合って肩を抱かれて、キスしながら。
 でも、そのあいだずっとわたし、太股や胸をシンジくんにさわさわ悪戯されてましたのよ。だってわたしの手は背中に回ったままで抵抗なんてできないんですもの。
 だから、パンストの上からも分かるくらいにおっきくなったクリトリスをコリコリされても、わたしはもう恥ずかしい声を出してイクことしかできませんでした。
 お昼は宅配のピザでした。でもシンジくんたら、わたしが注文しているあいだもいっぱいキスしてくれるんです。
 ええ、もちろん手は使えませんからわたし「あーん」して食べさせてもらいましたわ。だけど、もっと素敵だったのは途中から口移しになったことです。
 ええ、もう、目がくらむほど素敵でした。とっても、とっても美味しかったんですよ。

 そう、シンジくんってこうと決めたら曲げないコなんです。だから、成績も急上昇したんですけどね。だから、その、わたしがおトイレに行きたいときも……ほどいてくれなかったんです。
 トイレのドアを開けるのも、ストッキングをするする降ろしてもらうのも……ええ、ショーツも降ろしてもらいましたわ。「ミサト先生、これって本当に下着なの?」ってシンジくんに笑われるくらいエッチなハイレグショーツでしたけど。
 もちろん抵抗はありましたわ。だから、最初は言えなかったんです。もじもじしていると顔をのぞき込まれて「ミサト先生、オシッコしたいの?」って聞かれても、最初は首を振ってたんです。
 だけど、口移しでコーラをたくさんいただいてましたし、アソコをこりこり悪戯されてると、もう我慢できなくなっちゃって。
 結局、「正直に言わなかった罰」としてまずシンジくんのものにお口で愛するよう命じられちゃいました。
 おトイレの前の廊下で膝をついて、両手を縛られたままでお口だけを使って一心不乱におしゃぶりしました。
 尿意と恥ずかしさでもう、頭の中まで真っ白になっちゃいました。
 はい、もちろん、もちろん出されたシンジくんのエキスは全部飲み干しましたわ。

 だけどおトイレのあと、シンジくんたら下着を元に戻してくれないんです。
 膝までパンストとショーツが下がったままの格好で、抱きかかえられてリビングまで連れてかれちゃいました。
 そこでテーブルにうつぶせに乗せられて……さっきオシッコしたばっかりのところをああ……舌で……清めてくれましたの。もう……何回イったかなんて分からないくらい。
 ええ、いっぱいいっぱい感じたところでうしろから「ずぶずぶずぶー」って入れてくれたときは、部屋の外まで聞こえるくらいの声で叫んでたと思います。
 「シンジくん、シンジくんだいすき!」って。
 もちろん彼が望んだときは、思い存分中に出してもらいました。
 とっても熱いものを、とってもいっぱい注いでもらいましたの。
 本当に幸せな気持ちになれるんですよ。
 ああ、でも、当然一度っきりではありませんの。
 えっちなブラもショーツも脱がされて、お気に入りのワンピだけをまとわりつかせた恥ずかしい格好で、いっぱいセックスしました。
 ソファーに突っ伏して、高く上げたお尻を抱えられてぐいぐい突かれちゃうと……ああ、すごいんですよ。
 はい、ずっと縛られたままですから、テーブルの上に座って大きく脚を拡げるポーズを取っても、当然隠すことなんてできませんよね。
 「ミサト先生、お尻の方まで生えてる『毛』剃っちゃおうか?」って言われたときに気付いたんです。
 わたし、彼のためならどんなことでも受け入れてしまうんだって。
 でも、シンジくんに「家宅そーさく」されちゃったときは、本当に泣いちゃったんですよ。
 彼が来るときはクローゼットの奥に隠してある「オモチャ」を見つけられちゃって、ソレをどうやって使うのか聞かれたときとか。
 PCのブックマークの中に「生徒に恋してしまった女教師の掲示板」があるのを見つけられたときとか。
 でも、隣に座った「彼」にオモチャでぐりぐりされながら、「K.M」として投稿した内容を音読すると……心が融けてしまうくらいの快感でしたの。



◆ ◆ ◆




 「……ね?シンジくんってもう立派な『オトコ』でしょ?オンナ泣かせの」
 「なんて……こと……」
 ミサトの告白にユイは言葉を失っていた。それどころかあまりに淫靡な言葉の奔流に囚われて、思考すらうまくまとまらない。
 それどころか、躰の奥底が熱を帯びていることさえ自覚していた。
 しかしユイは声を震わせながらもミサトを叱りつける。
 「いい加減になさい。ミ……葛城さん。あの子はまだ一四歳なのよ。好奇心を満たしてくれる女性が現れたらその魅力に溺れてしまうのは当然でしょ!それに、それに、避妊もしていないなんて……」
 「嬉しい」ミサトは微笑み、ふわりと立ち上がる。「お母様に『魅力のある女性』と言っていただけるなんて」
 「なにを馬鹿なことを言ってるの。あの、ちょっと」ふらふらと近づいてくるミサトに狼狽する。だが、全身が鉛のように重く、ミサトがすぐ隣に腰を下ろしても逃れることはできない。
 それどころか、肩を抱かれて耳元に囁かれてしまう。
 「だって、オトコノコの硬いオチンチンに直接ぐりぐりえぐられるのって、とっても気持ちいいんですもの。子宮の奥まで、熱くて濃い精液を注ぎ込まれるのも素敵ですもの。だって、だって、大好きな男の子なんですのよ。すべて受け入れなければ愛じゃありませんわ」
 「なにを馬鹿なことを言っているの。あ……あ、なに、なにをするの!」ミサトに握られた手首が背中に回り、同時に金属のひんやりしたものがからみつく。
 かちりと硬い音とともにロックされた。
 「やめなさい!あのひとを……夫を呼びます!」
 「呼んだら、わたし、話しますわよ。おとといの午後、お母様がどこにいらっしゃったのか」
 「な、なんのこと?」
 「研究室を早退されてましたわね。でも、お気に入りのフランス車はこのマンションの地下駐車場にありましたわ」
 「!!」
 「それに、このリビングの西側のクローゼット、中に人が入れるくらいの大きさですわね」
 ミサトの言葉にユイは沈黙した。それどころか小さく震えている。
 「細く扉を開けたら気付かないと思ってました?」
 「ああ、ああ……」
 「最初は気付きませんでしたけど、いつの間にか五センチくらい開いてましたわ。お母様」
 「知っていて、知っていてあんなことをシンジと……」
 「はい。知っていましたわ。お母様がオナニーに夢中になっていたことも」
 「やめて……そんな下品な言い方……」ユイの声はもはや悲鳴に近い。だが同時に、その瞳は潤み、どこか夢見がちだった。


◆ ◆ ◆




 「『勉強部屋では飲食は禁止です。リビングか食堂になさって』って、あなたのお母様に叱られたのよ」
 リビングのドアを開けて現れたニットのワンピース姿のミサトは溜息をついた。軽くシンジを睨む。
 その手にあるのはケーキ店のちいさな紙箱と湯気の立ったポット。
 「だって……」シンジの手にはコーヒーカップと食器の載ったお盆があった。「つい夢中になって」
 「はいはい。お姉さんが悪かったわ。でもねぇ、絨毯にコーヒー二回もぶちまけちゃったらお母様、怒るのは当然よ」
 ……気付いていないわ。
 碇ユイはほっとする。
 ……勉強部屋での飲食を禁じたのは、碇シンジの個室にわたしが隠れる場所がなかったから。
 ……リビングなら、このクローゼットに隠れることができるから。
 ……いま、私が二人を覗いていることも。
 「じゃ、食べよっか」快活な口調でミサトが提案した。いそいそと箱を開けてケーキをお皿に取り分ける。「高かったのよ、これ。さすがアスカちゃんはお目が高いわ」
 ユイはどきりとする。箱に書かれたケーキショップはシンジの幼馴染みであり、ユイに親友の娘である惣流・アスカ・ラングレーが「ぜったぜったい、アタシこれしか食べませんから!」と宣言していたお気に入りの店だった。
 「怒るんです。違う店のものを買ってきたら」
 「自分のために、特別なことをしてほしいのよ、彼女は。あなたに」
 「でも、いつも僕のこと怒るし、乱暴だし、わがままだし」シンジはぶつぶつとつぶやいた。
 「彼女はね、自分がどうすればいいか分かってないのよ。さ、『あーん』して」
 ミサトはにこにこと微笑みつつフォークに刺したケーキを少年に差し出す。少年は頬を染めつつも年上の女性の指示に従った。
 そして、たわいない会話とシンジが惣流・アスカ・ラングレーおすすめのケーキに舌鼓を打つ音を碇ユイは聞くことになる。
 「ミサトさんって公務員を辞めて大学院に入り直したんですよね」
 「うん。ちょっと人間関係でいざこざがあって」
 ……上司と不倫になったのでしょ?防衛庁みたいなお堅いところでそんなことをするなんて。
 「研究室で……コンパとか行くの?」
 「あ、シンちゃん灼いてる?ヤキモチ?」
 「そ、そんなこと……」
 「あんまりお声がかからないのよねぇ。わたし、みんなより年上だし、【アイアンレディ】リツコの友達ってこともあるし」
 「あ、あいあんれでぃー……失礼ですよ」
 「あら、とんでもない、誉め言葉よ」
 「そうなのかなぁ……えっとぉ……」
 「なに探してるの?シンちゃん」
 「ティッシュ、クリームが」
 「馬鹿ね、そんなのはお姉さんに任せなさい」
 葛城ミサトは微笑むと少年の顔に唇を近づけ、碇シンジの口元に付いたクリームを丹念に舐め取り始めた。
 「あ、あ、とっても美味しい、このクリームも、シンちゃんの唇も……」
 大きく舌を出し、ルージュも鮮やかな唇を舐めるミサト、吸い寄せられるように碇シンジは今度は自分から身を乗り出して葛城ミサトの唇を貪る。
 溜息とともにミサトの唇が半開きになり、少年の舌が即座に侵入する。
 「ん、ふうぅっ、シンちゃ……ん、じょうずぅ……」
 ミサトの手が少年の頭をかき抱き、甘い声を漏らした。
 そして少年の手がニット地のワンピースの上から、熟れたボディーを好き放題に愛撫すると、心の底からうれしそうに微笑むのだ。
 冒涜的なほどに盛り上がった美乳をやわやわと揉みし抱くと「うふふ」と笑う。
 「シンちゃんったらぁ、おっぱい好きなんだ」
 「だって、ミサトさんの胸、すごく柔らかくて吸い付くみたいで……」
 「あなたのお母様もきっと柔らかくて大きいわよ」
 ユイはどきりとする。ミサトが一瞬こちらを見たような気がしたのだ。
 「僕が小さいときしか見たことがないです」
 「ふふ、もう、お風呂とか入らないんだ」
 「入りませんよ」
 「ミサトお姉さんとお風呂はいるのは大好きなくせに」
 「もう、ミサトさんったら」シンジは苦笑するとミサトのむっちりと張りつめた太股を撫で、その奥まで指を這わせた。
 ミサトがなんの抵抗もせずに碇シンジの指を受け入れるさまに、聡明な碇ユイの思考は完全に停止してしまった。
 だから少年の指と同期するように、己の指が自身の太股の付け根をさすりはじめていることなど、気付くわけもなかったのだ……。



◆ ◆ ◆




 ……知られていたなんて、気付かれていたなんて!
 ユイはまるで熱病にかかったように震えていた。
 もう、夫に助けを求めるつもりはなくなっていた。
 一人息子と家庭教師として招いた知人の娘……ただしその年齢は息子の倍近い二〇代の後半だ……との淫らな交わりの現場を、自らの目で確かめていたにもかかわらず、その事実を糾弾するために葛城ミサトを呼んだにもかかわらず、碇ユイは震えることしかできなかった。
 だから葛城ミサトによって目隠しされても助けを求めることすらできない。
 その耳元で「知ってます?お母様、おとといお母様が隠れていらっしゃったあのクローゼットの中に、人がいることを」と囁かれてはなおさらだった。
 ミサトの手が背後からユイの太股へ回り、ショーツの中を掻き回す。
 「お母様、すっかり発情されてますわ」
 「ああ、ああ、おかしいわ、こんなのおかしいわ、私、おかしいわ、こんなに身体が熱くなるなんて、こんなに変な気分になるなんて……あっ!」ユイは悲鳴を上げる。奥歯を噛みしめる。「貴女、貴女ッ、く、クスリを、クスリをコーヒーに入れたわね。なにか変なクスリを!」
 ……ミサトはユイよりも早くこの家に着いていたのだ。
 ……ミサトが碇家のキッチンについて、どこになにがあるのかを知っているのはおとといの振る舞いからも明白だった。
 ……コーヒーか砂糖になにか薬を混ぜたのだ。女を淫らにさせる薬を。自分にも影響することを覚悟の上で。
 「だって、お母様に素直になって欲しかったんですもの」
 弛緩したユイの下半身からショーツを引き下ろし、美夫人を自分の膝に乗せてがばりと卑猥な開脚姿勢を取らせた。
 「ああ、ああ、だめよ、だめよ……」
 夫である碇ゲンドウともここ数ヶ月交わったことのない貞淑な人妻の秘花が露わになる。
 そのすぐ下に咲く葛城ミサトの……無毛の……淫花からはたらりたらりと蜜がこぼれ、高価な革張りソファーを汚していた。
 ミサトのしなやかな指が、彼女の「恋人」の母親をゆっくりと愛撫する。
 「お母様ったらとってもいやらしい躰をしてますわ」
 「やめなさ……い。こんなこ……と」
 「まだまだ女盛りでいらっしゃるのに、セックスの悦びを捨ててしまうなんて」
 「貴女に言われる……筋合いは……ありません」
 「そんな風に変な意地を張るから、自分の息子に欲望を抱いて、息子のセックスで発情しちゃうんですよ」
 「お、お、おだまりなさ……い」
 「いくらシンジくんがとっても綺麗な目をしていても、素直で甘えん坊な可愛らしいオトコノコでも……とってもおっきくて硬いオチンチンの持ち主でも……」
 「あ、あ、あああ……」ミサトにささやかれるだけでユイの牝穴からしたたる液は白く、濃くなってゆく。
 「いけませんのよ。息子とセックスを夢見るなんて。そんなのケダモノですわ」
 その声と同時にがちゃりとクローゼットが開く音が聞こえた。
 ユイはついに悲鳴を上げる。
 そこに潜んでいた人間が誰か分かってしまったのだ。
 「ダメ、ダメ、ダメよ!シンジ!こっちに来ちゃダメ!ダメよ、わたしたちは親子なのよ。親子でセックスなんていけないわ、そんなことは、そんなことは!!!」
 「お母様ったら、すごい勢いで『お汁』が垂れてますわよ。それに身体中から牡を誘う牝の匂いがしてますわ」
 「いや、いや、いや」
 ユイはなんども首を振る。だがその気配はまったく足を緩めることもなく近づき、ついに彼女の正面に立った。
 「さ、お母様。男と女の交わりのすばらしさを、再教育して差し上げます」ミサトは穏やかに宣言する。くちりとミサトがユイの花弁をくつろげた。「さぁ、どうぞ。発情人妻のまんこをたっぷりご賞味あれ」
 「だめ、だめ!やめなさい!シンジ!お願いだからやめなさい!お願い!お願いだから許して!お願いだか……あ、おぉ、ふぅぅッ、は、ああ、ひ、あ、あ、あぁぁぁ……ンッ……」
 ずん、と突かれた。それも一気に奥まで。
 「ひ、ひ、いい……ッ、お、奥まで、おくまれぇつかれてるぅぅぅ」
 ごりごりと半ばまで抜かれ、ぬちゃぬちゃ掻き回されたあとふたたび突き込まれる。
 「ふひぃぃぃ、あはぁ……らめぇ、らめぇ、こんなせっくすぅ、こんなせっくすらめぇ!シンジの、しんじのオチンチン!こんなに硬くて、ごりごりして……ああ、すてきだなんてぇ!」上品な唇から涎をたらたらこぼして碇ユイは絶叫する。
 もう誰に聞かれているかなど気にすることもできなかった。
 だが自分の「襞」が硬くて長いペニスをしごき上げ、締め付け、蠢動することで最大の快楽を得ようとしていることは理解できていた。
 子宮の奥深くに大量の精液を注ぎ込んでもらうべく、自分が無意識のうちに淫らにもじもじ腰を動かして、できるだけ陵辱者のペニスを銜え込もうとしていることも理解できていた。
 「ああ、ああ、もうらめぇ、わたしもうだめぇ、よすぎるの、すてきなの!シンジ!シンじぃぃぃ!お母さんを、母さんをイカせてぇぇ!」
 「あーあ、言っちゃいましたね。お母様」
 「だって、だってぇ、だってぇ……」
 不意に目隠しが取り払われた。
 同時に碇ユイは信じられないような絶頂を迎える。
 だが、弛緩しきった表情が驚きに彩られるまで時間がかからなかった。
 「まだ、私は出していないぞ。ユイ」
 「あ、あ、あ……あな……た……お、おおおッ」
 ユイはがくんとのけぞった。
 「や、だめ、いま、イったばかりなの、とっても敏感になってるの、あ、お、ああ、お、あはぁ、あ、あ、あぁ、あああ……」
 ぐらぐらと頭を振りながら碇ユイは快楽に翻弄されてさらなる高みを目指すことを強制される。
 彼女を貫いていた碇ゲンドウ氏が容赦なく腰を振りはじめたからだった。
 「さ、お母様。旦那様にしっかり再教育していただいてくださいな。息子に発情するような淫乱まんこが誰のモノかしっかり教え込んでいただくんですよ『硬くて、ごりごりした』おちんちんで……ね」
 「ひ、ひどぉい、ひどい、あ、あ、あ、おお、うふぅ……ン、ふ、あ」
 「旦那様、とっても元気ですわね」ミサトはくすくす笑う。「ついさっき、わたしのお口の中に二回も出したのに、ぜんぜん硬いままなんですもの。お母様に頂いたコーヒーでやっと飲みこめたくらいに『濃かった』ですしぃ」
 「ひ、あ、だめぇ、ああ、あなた、あなた、こんなのいけないわ、こんなのぉぉ……お、おおお、う、ひぁ!」
 「ダメなのはお母様、旦那様を元気づけようともせずに、息子に色目を使うんですもの。たっぷりこのえっちな肉壷で御奉仕して、再教育したいただいてくださいね」
 「ひどい……ひどい、あ、おお、ふぅぅぅッ、あ、あ、あはぁ……ン、ふ、あ、あなた、あなた、あなたぁ……すてき、すてき、すて……き……」
 碇ユイの足首が碇ゲンドウの腰の後ろでしっかりと結び合わされ、貞淑な人妻の腰が夫にさらに密着した。
 「ああ、ああ、すてき、すてひぃ、すてきぃ……」
 「たっぷり愉しんでくださいね、お母様」
 葛城ミサトは熱を持った碇ユイの頬に口づけをする。
 自身も瞳をどんよりととろけさせて。



◆ ◆ ◆




 柔らかなアラームとともにエレベーターの扉が開く。
 一歩踏み出そうとしてぎょっと立ち止まる。
 それは向こうも同じだった。
 「あ、あ……こんにち……わ」
 相手は黙ったままだった。怒りと侮蔑の入り混じった瞳でミサトを見上げていた。
 それでも彼女は美しくて愛らしい。女である自分でもそう思ってしまうほど。
 葛城ミサトは内心で溜息をついた。
 秀逸とはとても言えないデザインの制服を身につけていても、それは彼女の魅力をまったく削いでいなかった。
 攻撃的な瞳も彼女の内なる輝きの彩りのひとつであることが誰の目にも明らかだった。
 ミサトの目の前で立ちつくしているのは惣流・アスカ・ラングレー。
 碇シンジと同い年の幼馴染みだった。
 紅茶色のロングヘアーを輝かせ、腰高のプロポーションも眩しい開花寸前の大輪を思わせる少女だった。
 ただ、彼女はまだ気付いていない。
 自分の気持ちを幼馴染みに伝える方法を。ひどく子供じみた方法以外のものを。
 そして、彼女は知らない。
 幼馴染みを自分の虜にする方法を。その美しく愛らしい肉体を少年に差し出す方法を。
 ぷい、とアスカは視線を逸らせた。頬を膨らませる。
 「彼、まだ戻っていないわよ」ぽつりとミサトは言った。
 「いいの」
 「でも……」
 「いいのよ」珊瑚色の瞳がミサトをまっすぐ見つめていた。「アタシ、待つもん。アイツが帰ってくるの」
 「そう……なの」
 「ええ、そうよ」アスカはかすかに笑う。「戻ってきたら文句言ってやるんだから」
 「そうね、そう」きっとたわいのない文句なのだろう。一方的で身勝手で、子供じみた論理の。
 でも、彼は、碇シンジはソレを受け止め、惣流・アスカ・ラングレーは最終的に彼を許すのだ。
 「さようなら」するりと少女と躰を入れ替えた。
 葛城ミサトはエレベーターの外へ。惣流・アスカ・ラングレーはエレベータの中へ。
 地下の駐車場をミサトは律動的に歩いていた。

 泣くのは車の中でと心に誓いながら。



Menu


Original text:FOXさん
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(5)