Diver's Corruption

Original text:引き気味


『 02:超加速DaysU 』


 カザミが一旦、ヒナタの中から長いペニスを引き抜いていく。
 一瞬、元の綺麗に閉じた形を思い出せなかったのか、ぽっかりと口を開けたままになった少女の肉穴からは、どろりと夥しい量の粘液がこぼれ出していた。
 全てはカザミの手管で散々に女として嬉し泣きさせられていた証。
 そして今度はヒナタが膝立ちになって、位置を入れ替えたカザミの下半身を跨ぐのだ。
「ンァ……ぁ、ああぁ……」
 寝台に手狭そうに大男の肉体を寝そべらせたカザミの、殆ど垂直に屹立する最大膨張勃起と、自分の膣口と。だいたいの位置を合わせて下腹部を浮かせる。
 そして怖々、幾人もの少女達を泣かせている肉棒に手を添えたヒナタが、もう片手で自ら性器を割り拡げつつ、腰を沈めていった。
「――ッ。ンゥ、ン……んんん」
 毒々しい赤紫色をした亀頭と、暗に指して下の唇とも言われるその器官にキスにも見える密着をさせた時、体格差以上に華奢な体つきに見えた彼女はぶるりと背を震わせたが、動きを停滞させたのは僅かな間だけだった。
 はじめは勢いがつかぬようにじりじりと。
 なにしろ本当につい今しがたまで、ヒナタのここは互いが初体験同士だったクガ・ヒロト一人しか男を知らなかったのである。
 しかしやがて、なにかの気構えに必要だったのか深呼吸に似た息遣いでふぅ、はぁ――と吐き出すごとに5ミリ、10ミリと、着実に。少女の膣は、同い年ながら今は見上げんばかりの筋骨隆々としたアバターを纏ったカザミの剛直を、窮屈な膣の中全部、一杯にするまで飲み込んでいったのだった。
 エラの張った亀頭部分を丸々膣口にくぐらせてしまえば、後は濡れそぼつ奥底に届いてしまうまで、思ったよりもずっとスムーズなものだった。
 事前にたっぷり、潤いで満たされていたからこそだ。
「無理しなくて良いんだぜ?」
 カザミは、此処こそが醍醐味だなという沸き立つ気分で、それら一部始終を下から眺めていた。
「…………。良いの。大丈夫だから」
 男女のという意味では、特別な感情なぞちらりとでも浮かべたこと無かったろう――どころか、ヒナタは自分みたいな押せ押せで喧しいタイプは苦手にしている様子だったのだが。
 あてつけ以外の何者でもない、一時の感情任せ。それで、このいかにも純情で健気そうなお嬢さんが唆した通りに跨ってきて、自分からこのいきり立ったペニスを飲み込んでいってくれてるというのだから、堪らない。
 拗ねてへの字に唇を噛んだ、薄っすら涙目であるところもまたオツなものだ。
 やっと墜としてやったぜという、達成感だった。
(良い仕事してくれるぜ、メイ。幼馴染からそのまま付き合い出したっていうんだから、ヒロトのやつ以外ずっと目に入ってなかったんだろ? 他の男を相手にしちまうとか、それがオレとか、考えたことも無かった筈なのにな)
 ヒナタはもう上着もすっかり脱ぎ捨てて、全身の裸を晒していた。
 身に着けていたもので後は残っているのは、髪の左右の紅水引を模した飾りだけ。
 その飾りに取り付けられた朱色の房が、ぱさっ、ぱさっと揺れ動き始める。
「アッ、っ。っ、ハッ。ハッ、はぅ……ッ。ッ、ンっ。ンッ、ンッ――」
 横目にメイを見ながら本腰を入れて。カザミとの騎乗位セックスを開始したヒナタの積極的な腰遣いからは、そうして彼女が熱心に熱心に真似ていっているのが見事に反映されて、あっという間に固さ、ぎこちなさというものが取れていく。
 システムに補助されたゲーム内スキル習得プロセスが、アバターの踏襲を通じてこの仮初の肉体にも影響を及ぼしている。GBNでプレイを重ねて狙撃技能だの回避技能だのが磨かれていくのと同じ塩梅で、言うなればヒナタの騎乗位技巧がレベルアップ促進されているのだ。
 急速に開発が進んでいく性感や、行為への積極性も嵩上げされている少女は、知らず識らずの内に娼婦めいたスキルまで取得させられつつある。
 周到な算段でようやくこの少女をモノにしてやった思いの青年には、それがまた愉快なのだ。
「ど〜だぁ? 俺のチンポの良さも、分かってきたかよ」
「…………」
 カザミの軽口に、さすがにサービスの良い答えを返してくれまではしないが。あまり男慣れしていなさそうな下半身をぎこちなく揺らめかせ、秘唇いっぱいにカザミのペニスを食い締めてくれているいじらしさを、途中で止めてしまったりはしない。
「ンぁんっ。ンっ、ンッ、うんンッ」
 むっつりとしていた口元からも、すぐに愛らしい喘ぎ声を聞かせはじめてくれた。
 先程の残滓の、そして新しく開始されたこの交わりによる昂ぶりが、白い肢体の胸元までもを薄紅色に染め替えている。
 目一杯の興奮でそそり立った逸物を、ぱんぱんに口膨らませて咥え込んだクレヴァスの有様は最早、ただただ卑猥でしかない。
 普段はガードの固い巫女衣装に厳重に覆って淑やかに通していた身で、こんな目を疑うふしだらさを演じてのけるシチュエーション。これを目にしたことのある男は、今日からはクガ・ヒロトただ一人ではなくなったというわけだ。

「やっぱ俺、見るからにエロいって姉ちゃんより、アンタみたいにあんま遊んでなさそうな子の方が抱いててワクワクしてくるな」
 思わず口に出してしまったカザミを、メイが胡乱な目で見ていた。
 自分もヒロトと愉しんでいる最中ではあったものの。うって変わって自発的に、積極的に、カザミとの行為に快楽を追求し始めたように見えるヒナタが全身を大きく使いだしたのを、視界の端に気付いて。ちらちら興味深そうにしていた様子だ。
「……それは、手を出したくなってウズウズしてくる、の間違いじゃないのか?」
「そりゃなぁ〜」
 さすがに当の本人とまさに繋がっている真っ只中。他人の恋人に欲望を膨らませていただの、虎視眈々チャンスを窺っていたのだの、面と向かって聞かせるのも――と、この自分勝手な青年でも口籠りはする。
「まぁ、守ってやらなきゃって思う可憐で愛らしい花ほど、逆に自分の手で摘み取ってしまいたくなるのが男の性っていうかだな……」
「ほう。だったら、私はどうなんだ? どうだったんだ? 彼女や姉さんと違って、お世辞にも男受けするような可愛らしい性格はしていないと自覚があったんだがな」
「そりゃお前、最初に言った通りだよ」
 寝転がったままカザミは肩を竦めた。
「男と女だとか、エロいことになんかまるっきり興味無いねって感じのハンサムなっていうかさ、男前なところがさ。いざ、とことんオンナを自覚させてやったらどうなんだっていう」
「ほほぅ? それでか?」
 うっすらとした笑みでタチの悪い好奇心を露わに。カザミの口からそれを言葉にさせたがるメイは、日頃の毅然とした顔つきからすれば人違いを疑ってしまうぐらいには目の輝き方が妖艶で、目尻をピンク色に蕩けさせてしまっている。
 彼女の肉体に夢中になって見えるヒロトを組み敷いて、掌に転がすも同然にリードしているメイだったから。全身を濡らす汗でてらてら裸体を輝かせ、折々の艶っぽいエクスタシーの身震いに『あぁぁ……』と吐息を震わせたりはしていたが、まだまだ余裕が残っていたのに違いない。
「ああ、そうさ。それでだよ」
 カザミは悪党の笑顔を作って、だから念入りに準備をしたフルコースの初体験をさせてやったんだよと嘯いた。
「……お前は本当に、紳士的って言葉からは程遠いやつだよ。ヒーローを目指すより、ヴィランの方が似合ってるのじゃないか?」
「またケツ穴浣腸でボテ腹膨らませて脂汗垂れ流したいなら、そう言ってくれよな」
 犬歯を剥き出しにして楽しげにしてやった青年にメイが一瞬見せたのは、らしくないにもらしくない、怯みだったように見えた。
 仮想空間内のお遊びどまりでは済まなかった危険なミッションでも、一度もたじろいだりはしなかったあのメイが、カザミ相手にだ。
 『……っ』と言葉を詰まらせて。
 ただ単純に怯えを浮かべたのとは違う。ある種、マゾヒスティックな陶酔を脳裏に蘇らせてしまった風の、しおらしい期待さえ――その黙り込んだ刹那の間には織り交ぜられていて。
 それはやはり、そんな蚊帳の外で意識を逸されていたのではヒナタも面白くなかっただろう。
「…………」
 あえてカザミごと無視することにしたらしく、わざとらしい一層の前のめりを強調してなのか『アンッ、アンッ』と盛んに喘いでみせ始めたのだった。
 少しばかりの演技臭さは苦笑したくなるが、強引に迫らなければ挿入は拒んでいたようなさっきからすればだ。自分で左右の胸も揉みしだきながらヒップをうち揺すり、熱い愛液を溢れさせている場所でグチャッ、グチャッと、カザミの肉棒に女性器への加速した出し入れをさせる、堂々たる乱れっぷり。
 もしかすると、大事な幼馴染を奪ってしまっているメイへの、後に尾を引きかねない反発が生まれていたのかもしれなかったが。しかしこれは同時に、妬心ではあるまいかとも思えたのだ。
(おっ……?)
 カザミに向かって、自分を見ろと訴えている。ほくそ笑みが浮かびそうな、そんな愉快な解釈が思い浮かぶのだった。
「ぅぁ、ぁ。こんな格好……こんなことまでして。わたし、なんで……なんでこんな、いやらしいの……?」
 恋人合意のパートナー交換セックス。ここに来て初めて、本当の意味でのスワッピングプレイ開始に、恥毛が濡れそぼって張り付くまで秘部は濡れ濡れ。膣口から子宮口近い深くまで、ずっと自分を付け狙っていたという青年の欲望を受け入れて、たっぷりの蜜を絡めた締付けできゅっ、きゅっと健気な収縮を繰り返しているそこ。
 こちらの肉体の具合良さをこそ、今は気にするべきだと、そうカザミに向かってアピールしてきているのではあるまいか。
 聞いていればメイを手駒にヒロトを誑かす手の混んだ真似までして、自分を手に入れたがったというのに。ここでどうして、折角ヒナタが乗り気になってあげたところで横から口を挟んできた別の女の子を、相手してやろうとするのか。そんなの無いんじゃないのか。
 そうだとしたら、これはもういよいよカザミが犯してやっているだけの一方的なセックスでは無くなったということだ。
「悪かったよ。ほら、可愛い顔が勿体ねぇからさ、膨れんなよ」
「……ずっとそうやって、いやらしい目で私のこと見てたんだ」
「まぁ、な」
 事ここに及べば悪びれることもない。
 開き直ったように答えたカザミに、ヒナタも文句を続けることはしなかった。
 下から手を伸ばし、少女が汗を散らしながら揺らしていた乳房をねっとりまさぐってくるのを、黙って好きにさせる。
「ヒロトが新メンバーに女連れて来るっていうから、どんな子だよと思ってたら……これが巫女さんコスチュームだったもんだからさ」
「ぅあ、ぁ」
 気付けばジンジンと疼くぐらい固く張り詰めていた乳首だった。指の腹に摘んでしごいてくるようにされて、思わず喘いでしまう。
 この青年が始末に負えない女泣かせであることは疑うべくもない。実に愛撫の上手なことだ。
 耳朶は熱くなるが、気持ち良いだろう? と声を掛けられれば、平素の清純な容貌を一変させ、淫猥に歪めてしまっている少女に、否定は無理だった。
「男とよろしくやりに乗り込んできたのに巫女さんかぁ、って思ったらさ。すまし顔引っ剥がして、ヒロトの見てる前で思いっきり下品に喘がせてやりてぇな〜とかいう気分にな」
「……そう」
 だったら、と。
「これで満足した?」
 嫌そうにしてみせるヒナタも、今更では取り繕えない。官能の盛り上がりを如実に示して既に体中が真っ赤に染まり、全身運動の汗もあいまって肌がてらてらと艶かしく。喘ぎ喘ぎの息遣い一つ一つすら、随分と甘えた風になってしまっている。
 カザミが感じやすい場所を攻め立てれば、まず自分自身が信じられない程のいやらしい悲鳴が飛び出してくる。
「あぁ、ぁ、あぁぁぁ――」
 喉をのけぞらせて、はしたなく大声を上げてしまう。
「ヒナタも、凄いじゃないか。なぁ?」
「……ああ」
 ヒロトもメイとよろしく絡み合っているばかりではない。こちらにも時折目を向けてきて、カザミに跨って情熱的な媾合に興じる幼馴染の姿を目撃しているのだ。
 それでも、腰がもう加速するのを止められない。
 そこをはっきり見られているかもと苦悩しつつ、がばと大きく開いて跨っている太腿を閉じるところから、てんで思い通りに出来ない。
 あまり失望されるようなことは、どころでなく。一番あられもない場所を、逆に見てよと言わんばかり丸出しにしてしまっている。
(この人と、繋がっちゃってる所を――)
 恥ずかしいやら悲しいやら、腹立たしいやら。そんな千々に乱れる胸の奥から、一方でとめどなく湧き上がってくるおかしな衝動だ。
 もっともっとと躰をくねらせ、粘膜と粘膜をこすり合わせる淫らな演舞を披露するのを、
(抑えられない、だなんて……!)
 結合の隙間からの愛液には、あぶくが目立ちはじめていた。
 耳にするのも居た堪れないねばついた水音は、向こうまで届いてしまっているのに違いない。
 今度こそヒナタの方から応じた行為が、いっそう激しさを増していく。
 ふるふると弾んでいる乳房をカザミに揉みしだかれ、それが乱暴なくらいの手付きになっても、いよいよはっきりとした嬌声を上げて身悶えしてしまう。
「あぅぅ……、ぅ、ンァぁ――」
 うっとりとした表情を浮かべるヒナタは、完全に胸をお気に入りの性感帯として目覚めさせてしまった様子だ。
 心なしかカザミの肉棒を締め付ける膣の反応にも影響が及んできているらしく、自ら膣襞に擦り付けるたび内蔵の裏返りそうな快楽を叩き込んでくれるそれを求めてか、積極的に子宮口に突き上げさせる腰遣いを見せはじめていた。
「ぁ、ああっ! ああンッ! ぁっ……あっ……ヒぁッ、ンァッ、アッ! あぅンっ!」
「そこ……気に入ったのかよ?」
 それじゃあ、俺も手伝ってやるよと。腰を下から跳ね上げさせた突き上げが、余程うまい具合に官能を弾けさせたのだろう。
「あふぅッっっっ――!?」
 これ以上なく艶かしく喉を喘がせて、汗でぐっしょりの華奢な裸身をくねらせる。
 格好のウィークポイントを見出したカザミは、乱打させるも同然にそれを繰り返してやったのだった。
 もはや横にいるメイやヒロトのことを意識に留めておく余裕すらないのだろう。
「ああンっ、あっ、アッ、やだっ……。やッ、あっ、あぅっ! あひっ!? やだやだぁ……いやぁぁっ、こんなの――!」
「なにがだよ。へへっ、色っぽい顔しやがって。アヘ顔じゃん、もう。アンタのそれさぁ」
「だってぇ……」
 媚肉の奥底を発生源に、骨の髄まで蕩けだしかねない快楽に溺れた少女は、幼馴染のボーイフレンドにしか聞かせたことが無かった甘ったるい喘ぎ声を、もう我慢出来ない。
 節操など無しにひたすら快楽を貪りたくてたまらない、その異様な衝動がどこから来るのか。惑星エルドラに降り立つ危険性の真実を知らないヒナタにとっては、自分への失望なのだった。
 半ばは自暴自棄。とうとう躊躇も憚りもなくなった痴態を示し、カザミの腰にむしゃぶりついてしまっていた。
「こんな……こんなの、だめ……なの。ダメ、なんだから――。ぁ、ぁぁあああ! こんなのっ……こんな私なんてッ、見ちゃだめぇぇ……ぇ」
「何がダメなんだよ。見て貰えばいいじゃん」
「ンッ、ン゛ンッ!」
「ほらヒロトも! メイも! 見てやれって」
 大声で呼んでこれ見よがしに。ヒナタの背伸びするがごとく淫らに膨らませた乳首ごと、左右の乳房を揉みこねまくってやりもする。
 短い時間で把握されてしまった好みのツボを押さえる、絶妙の力加減だ。乳輪が小さめな分、余計にグミの実が色付いた風情で膨らんで見える乳首が、えも言われぬ痺れで潰し嬲られていく。
「あぁぁあ! ああっ、ンァ゛ァ゛ァ゛〜っっっ!?」
 ヒナタの疼いて疼いて飢えが抑えられないところへの、甘露にも等しい一手。虜にされてしまうに足る喜悦の奔流でしかない。
 思い切った時でもなければ普段は本当に控えめな少女なのだと、フォースへの参加以来で皆も知る所だった、そのヒナタが。開けっ放しにした口に震える舌を突き出させるほどの感じっぷりで、涎まで垂れさせているのである。
「こぉ〜んな風に乳首もビンビンにさせてさ! 顔も真っ赤っ赤。ひぃひぃ悦がっちゃってエロいのなんのって、ヒロトお前、見たことあったか?」
 急に呼ばれ、しかも流石のヒロトでもどう返すかに困るという訊き方だったろう。
「よっ、ほっ、そらっ。そらそらそら、もっと遠慮なく喘いでろって」
「はふっ!? ンヒぃぃンンん! 乳首ぃっ、そんなっ、取れちゃうよぉ……!」
 ご満悦のカザミは乱暴に胸をいじって膣奥を抉り続けて、ヒナタを休ませる気配もない。
「痛いだのきついだのと、嫌がるようなことばかり言っているみたいだが――。しかし、あれは随分と気に入ったみたいに見えるな」
 メイの感心した声。
 激しい騎乗位をヒナタよりも続けていた分の汗を全身に浮かべ、胸の見事の隆起やその谷間にてらてらオイルをまぶしたぐらいにしている彼女も、驚いたように目を瞬かせる。
 パートナーたちを交換している隣の寝台の有り様はそれほどだ。
「だろ? 実際にチンコ突っ込んでりゃ、そこら辺はもっと分かりやすいってヤツでさ。さっきから、きゅっきゅっと堪んねぇ締め付けしてんだぜ。――どうよ? ヒロト」
 メイが一旦一息とばかり観察の構えに入って、淫らに踊るのを止めてしまっていれば。不躾を地で行く質問であっても何かしらは答えねばという空気になってしまう。
「……知らないな。そういうことはあまり聞くなよ」
「そっか、そっか。ヒロトのやつとじゃ、ここまでアヘアヘさせて貰えなかったってわけか。――ほらアンタ、いい経験だっただろぉ?」
 言葉通りに知らない見たことが無いとも、単に答える気はないとでも、どうとでも捉えられるぶっきらぼうな返事。それを都合よく受け取って。やはりカザミはご機嫌な一方だ。
 だがヒナタにしてみれば、とんでもないと抗議したいところではある。
 乙女としては、ヒロトにだって――ヒロトにこそ、見せていたはずだと。
 けれどやはり乙女としては、はしたないにも程があるそんなことをメイやカザミもいる前で言えるものでもない。
 なにより、せっかく吹き飛んでしまっていた理性が羞恥を思い出してしまったおかげで、また胸の奥がチクチクと痛みだしてしまった。それこそが、最後の呼び水になったのだ。
「はふッ……!?」
 咄嗟の予感に口元を押さえ、ヒナタは懸命に声を噛み殺す。噛み殺そうとする。
 だろうともそれは無駄な足掻きだ。
 カザミが増し増しで硬く膨らませていったペニスをずっぽり収めた下腹部からの、沸き起こりつつある愉悦の炸裂。(こんなに、だなんて……!?)という未知の規模を予感してしまえばだ。声を押さえきるなんて、とても無理だと分かってしまう。
「ンくぅンっ!? んんんンっ……ンンンっッッ……んんんンンン〜!!」
 ぎゅっと瞑った瞼の裏で、いま自分に集まっている三人の視線を強く意識した。
 火花が散った。
 目眩にぐらりと上半身が崩れそうになった程、それはそれは甘美な恍惚。
 入り口が来ただけでだ。
(ああああ、ダメぇッ。来ちゃう、来ちゃうッ。きっ、き……きちゃうぅぅぅゥ〜!!)
「ぉ、ぉぉお……!? とんでもない締め付けしやがって。って、た、たまらねぇぇー!!」
 そうして強烈に膣で締め上げて、ヒナタの躰は強請りに強請ったのだ。ヒロト以外の男であろうと、もうお構いなしに。男性器からの吐精を子宮に浴びて完成する、このセックスでの最高に気持ちの悦い絶頂をと。女としての本能が喧しく叫びたてて仕方なかったのだ。
「ぃ、イクぅぅ〜っっッ。イクっ、イっちゃうッ。わたし――。イイっ! ぃ、イイから、悦いからぁっ、だからイっちゃうのっっッ……! ひ、ヒロトぉ!!」
 鳥肌の立った乳房を突き出すかの弓なりに、大きく背を仰け反らせ。17歳の少女は『おぅ』と呻いた青年から膣奥にドクドクと注ぎ込まれてくる射精を、夢見心地で味わっていく。
 びくり、びくりと互いが違うリズムで痙攣を繰り返す二人の性器は固く結合しあっていて、もはや寸毫の隙間も存在してはいなかった。
 びっしょり濡れた少女のクレヴァスの真下に脈動する男性器の身じろぎ一つごと、逆流して来た膣内射精の溢れ出しが、次から次に白い涎のように垂れ落ちていく。
「ヒナタ……」
 小さくこぼされたヒロトの声には、少なからぬ驚きが窺えた。
 あられもなく投げ出された幼馴染の少女の両脚の奥にそれを見届けて、メイの下腹部に包まれていた彼の肉茎も無性に猛々しくなっていたのである。
「……ふふ。なら、また私達もだ」
 男の疼きを胎内に察知して、艶かしく唇の間にちろと舌舐めずりを覗かせたメイがゆっくりヒロトに向かって胸を押し付けていく。
 そうやって再びすぐ傍らで声の上がりだした、よく見知った男女の睦み合いも、今はヒナタの真っ白になった意識の端をただ通り過ぎていくに過ぎない。
「ぁぁ……、ぁ、あぁ……」
 かつては幼馴染のヒロトただ一人だけが踏み入ったことのあった場所。プレイボーイ気取りの青年の肉竿が限界まで嵌り込んで、濡れ濡れのクレヴァスにみっちりと頬張らされているその場所に、生暖かなザーメン粘液の感触が広がっていくのが、染み渡っていくのが、いま分かるすべて。
 文句の付け所のないエクスタシーだったのだ。
 与えられたアクメによる満足感がそこに否定しようもなく広がっていたから、倒れ込む先がたとえカザミの胸板であったとしても、ヒナタはもう意地を張るのもやめて、素直に全身を弛緩させたのだった。


◆ ◆ ◆


「っぁ、ぁ……」
「ふはーっ。出た出た。アンタと、オトコとオンナの一戦やらかすの初めてだったし、もちょっと堪能させて貰うつもりだったのにな〜。我慢出来ずにドバドバ出しちまったよ」
 純朴な顔を切なく歪め、だからこそ余計にの色気を振りまきながらヒナタが必死に身をくねらせていた名残りである、幾本かのほつれ毛が、汗まみれになった額や頬のあちこちに。
 張り付いたそれらを指先で除けてやりながら、女の子一人を胸の上に乗せて余裕のカザミが、ニヤニヤとする。
 明るい栗毛の髪を耳に掛かる場所でだけ一房、左右で一対に長く伸ばしたその片側と、火照った頬の間に掌を差し込んで。恋人同士の後戯のようなキスを誘ってきたのには、
「……そういうことじゃ、無かったでしょ」
 と、拒絶してみせて。
 それでなけなしの一線だけは引けたのかなと自信無さそうに胸の奥を震わせるヒナタであっても、しかし未だに下腹部ではカザミと深く繋がりあったままでしかない。
 意図せずとも、色の違う互いの茂みが絡み合っている場所がもぞつけば、それだけで。達したばかりの過敏な肢体は、ぬめったピンク色をして発情の収まらない肉花びらを貪欲にヒクつかせる。
 今のヒナタの、淫乱そのものな反応。
 そして少女は手もなく簡単に、馴れ馴れしく頭を撫ぜてくる大柄な手のひらに『ン、んんン――』と、閉じた唇の奥で甘えた啼き声を漏らしたのだった。





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From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(5)