Diver's Corruption

Original text:引き気味


『 01:幼馴染大勝利END+超加速Days 』


 巫女のそれをモデルにしたダイバーとしてのコスチュームであったからだろう。
 鮮やかな紅白の服装の下に包まれたヒナタの裸身を直に拝もうと逸るカザミは、襟元の合わせをこじ開けて胸の膨らみへ手を潜り込ませたまでは順調だったものの、そこから先には随分と四苦八苦しているようだった。

「あぁ……。ぁ、はぁぁぁン……ン。カザミ、さん……。待って、カザミさん……」
 ヒナタにとっても、一応は同意の上で押し倒された寝台の上ではあった。
 カザミにされるがままに揉みしだかれていたそこでは、乱れきった胸元から楚々とした膨らみが姿を覗かせてしまっている。
 ヒナタはGBN内でも容姿を殆ど変えていない。だから生身の彼女と同じ、透き通ったピンク色をした乳輪もだ。
「ぁぁ、ぁ、ぁあ……」
 滾るような淫欲の炎を瞳に宿して、カザミは真正面からそれを浴びせてきた。煽りに煽られた結果として、ヒナタの乳首も愛撫へはっきりした反応を見せて、きゅっと硬くなってしまっている。
 鋭くなった体中の神経をピリピリと性感の高まりに痺れさせられている今、切ない吐息に胸を上下させるだけでも乳頭に引っかかる襟元の生地が官能を刺激するのであって、
「はふ。ふわっ! ッぁ――ぁぁぁ」
 何をされてもほっそりとした喉を晒して喘ぎ続ける少女の様子は、快感による麻痺毒が回りきった、いわば俎板の上の鯉だろう。
 しかし少女はその実、一時の勢いから醒めつつもあった。
「……ンぁっ、だめっ。ダメなんです。……その、ヒロトぉ……」
 首をよじって、隣の寝台をもう一人の女性チームメイトと使っている幼馴染の青年へと縋るような顔を向ける。
「なぁ〜にがダメなんだか。胸の先っちょもこんなにピンピンに立たせちまってる癖に。この分だと、下もさぞかしビショビショに……」
 一方のカザミは、ヒナタの両方の乳房にあてがっていた手を片方移して、視線共々に下腹部のあたりまで這い進めさせていた。
 キャラクタークリエイトによる筋肉で分厚く覆われた腕で、よっとばかりに軽々と。いじりやすいよう自分の方へ向けて華奢な肢体を寝かせ直す。
 ヒナタの白い上着は巫女装束の千早に近いが、ずっと守りは堅牢で、そもそも体の前が開きっぱなしにはなっていない。ウェストはワンピースドレス同様きゅっと絞られたシルエット。そのままエプロン状になって少女の腰から下もカバーしている。
 カザミが次に脅かしたいのは、そこで何枚重ねにもなった衣装で覆われたヒナタの足の付根だ。エルドラで女になった少女の、ちゃんともうセックスの味を覚えてしまった淫らな器官が、そこに隠されているのだから。
(本丸にさえ手を掛けちまえば……)
 今のカザミであるのなら、ガンプラバトルと女をコマすのとどちらをやっている方が本領発揮かというぐらいの、それだけの自負があったのだった。

 生身の感覚の完全再現を制限するGBNの掛けたリミッター措置。過剰な苦痛をバトル中のダイバーから取り除き、あくまでゲームであるという安全性を担保するものだ。
 これがところが、ここエルドラの地にまでは及んでいない。
 だからこそ、アバターが傷付けば本体も傷付き、時には死すら伝えてしまいかねなかったケースさえあったのだが、その理屈は快楽においても同様に働く。
 ネトゲの中のことだから、リアルではあくまでノーカン。だけれども、気持ちの良さはホンモノ。
 恋に焦っていたヒナタにとってそう唆された此処は、安全にヒロトとの関係を進められる場所に見えていた。
 男女交際に関しては違う文化圏の感覚を持ち込んできているパルヴィーズに吹き込まれた理屈をそっくり使って、ヒナタはあくまで気軽めかして幼馴染の青年を誘った。そして、エルドラでの処女喪失がしっかり地球の体にもフィードバックされていることを確かめて、有頂天になったのである。
 以来、ヒナタがライト感覚の遊び気分を偽装して、ヒロトにエルドラに連れて行ってくれるようねだる回数は激増した。
 そうやって確実に性感の発達を促してきた感じやすい躰には、「淫乱」という隠しパラメーターが刻まれてしまっている。
 そこを承知しているからこそカザミは、隠しパラメータの効果を最大限に発揮させるその媚肉を攻めようと、リーチに手を掛けた気分でいたのだ。
 ところが。
「いや、でもこれスカートも長ぇし。何枚重ねてんだよ……」
 そのまま分厚くなった生地越しでも愛撫を続けるのか。隙間を探すのか。それともスカートの裾を手繰り寄せて素足を暴いていって、上へ上へと攻め上るのか。攻めあぐねているようだった。
 そうやって手間取っているからだろう。
「ね、ねっ? ヒロトも、みんなも。ここだったら何の問題にもならないからって言ってたけど……、やっぱり考え直そ?」
 火にくべ続けるべき薪を絶やすような真似をすれば、遅ればせながらに少女の常識的な部分が息を吹き返してくる。
 駆け引きもテクニックも殆ど身に付けていない、ルーキーも同然の相手。スキルの差で強引に押し切ってしまえとカザミの目論んでいた基本戦略など、覚束なくなってくるというものだ。
 思い返せば、以前は何に手を出そうと上手くこなす天才児だと持て囃されていたとかいう昔話。ここまではその真実味を増すかのような、女の扱い方の異様な巧みさ加減だったものだから、ヒロトも圧倒されてすらいたのだが。
「わた、わたし、なんだか……」
 怖くなったのだと、少女は瞳を揺らしながら訴える。

「最近はちゃんと、決める時はキメる男とやらをやれていたと思ったんだがな」
「いつもは……その、メイとの時はもっと違うということなのか?」
「私にはいつも自分で脱ぐように言ってくるんだ。男に裸を見せる時の段取りには拘るべきだとかで、色々と勉強させられたな」
「そうか……」
 惑星エルドラ上の適当な街にとった宿は、地球でのリアルにおける顔見知りが絶対に居ないという最大のメリットがある以外は素朴な部屋だ。
 家具らしい家具は寝台が二つ。
 カザミとヒナタが片方を使い、ヒロトとメイは隣の寝台。そこでもうヒロト達は互いの衣服を脱がせ合って、いつでも挿入して本格的にコトを始めてしまえる段階になっていたのだけれど。なんとなくこちらも手が止まってしまっていたのだった。
「す、すすす、ストップを――ストップをお願いします……っ」
 折角だったのに、というものだろう。
 キスで蕩かされ、背筋をヒップラインを撫でさする手付きで少女の警戒線を際どく侵食され。そうしてゾクゾクさせられていたところに、胸へ乳首へと直球ストレートの性感帯攻略を仕掛けてきた、カザミの押し込み具合。
 ここまでは図に当たっていた。
 実に順調に。
 本当に素肌を、大して良く知りもしない男の手で直に、自分は乳房を乳首をいじられてしまっている――。とても疑似神経によるとは思えないリアルな感触が、カザミにとって都合の良い効果の衝撃にもなっていて。今日こそ頂いてしまおうと意気込んでいたターゲットである、このリアルでは同い年のお嬢さんを混乱させていたというのに。
 この瞬間も地球上のダイバーギア端末と共にある本物の体からすると幾らか明るめの、琥珀色をした瞳。ヒナタのタレ目がちな、そのおっとりとした目付きが見事トロンと夢見心地に。邪魔になる理性だとか常識だとか、躊躇といったものが上手いこと消えかけていたというのに。
「ねっ、あのっ、カザミ……さん。やっぱりこんなことっ」
 いわば麻酔代わりだったのだ。そのための愛撫が、スカートの内側にどう攻め込むかの手間取り具合ですっかりおろそかになってしまった分、もうヒナタはベソをかきかけの鼻声に戻ってしまっていた。
 やっぱり嫌だ、無理――と、今更に。
「あ゛ーっ、もうっ。面倒くせぇ。落ち着いてやりゃ、こんなんパパッと裸にしてやれるんだよ!」
 いちいちもぞもぞ抵抗されるのが邪魔なだけ、ということにしたらしい。
「ンンンんーッ!? っッ……!?」
 先程まで以上に真正面から深く、幼馴染のヒロトとの覚えたてのキスしか知らなかったヒナタの唇を奪いに行ったカザミが、目を白黒とさせる少女に頬の内側から形が浮かび上がる程の荒々しい舌技を仕掛けていく。
 一度絶頂まで押し上げてしまって、抵抗を失ったところをゆっくり脱がせてしまえと考えたのだろう。
 がばっと襟元も限界まで引っ張り開かせて、まろびでた控えめなサイズの――しかし将来性を感じさせる形良い美乳でもある――バストの左右を、戦闘中の手さばき並に猛然と責め立てていく。
「えっ、ええっ!? ンッ、はふっ、はひっ……ヒッ! ンァぁぁぁあっ――!?」
「そら、もう少しだろ? そのまま気持ちよくさ、弾けちまえよ」
「あわわわ……。わたっ、わたひっ? これ……おっぱいが、なんなの? 凄く……っ、ッッ」
 揉みしだかれ、握り絞られ、乳首をくじるように指の腹に挟まれて、
「イクんだよ。イッちまうんだ。あんたは俺のこの手でいじられてさ、ほら乳首にキツいのされると火花が飛び散るみたいだろ?」
「ヒッ! ダメっ、だめっ……ッ!」
 終いには、ヒロトとでは経験したことが無かったほど、乱暴に乳首を引っ張り上げられてしまって。
 乳房全体が、胸に膨らんだ裾野のあたりから引き伸ばされた格好にまでさせられてしまう。
 こんなになるまで胸を乱暴に扱われてしまうと、もうこれはひょっとすると男女の淫らな場面なればの振る舞いだというより、単なる暴力と変わらないのではないか。そんな風にまでも思えてしまう。
 これまでヒナタが生きてきた中では、試しにやってみたらどんなだろうといった好奇心すら、一度たりとも思い浮かんだことがない。
「痛ッ。イタ……ぁぁああっ。お願い! やめ、止めてぇ……!」
 しかし暴力としてしか捉えることの出来ない扱いをされてしまっていて今、一方でヒナタは感じたこともないような快美な戦慄に全身をわななかせてしまっていたのだった。
 これが隠しパラメーター「淫乱」の効果。その恐ろしさである。

(あっ、ああああっ! これ、まさか私……!?)
 自覚してしまうことがもう、瞬間的に頬を灼熱させる恥ずかしさだった。
 ヌルヌルとした感触が広がりきった下着のあたりだ。知らない内に――トイレに行きそびれてしまったのかと疑うほどの有様で、自分がもう信じられない。
(私、わたしったら――なんで!?)
 切なさが募った夜などにこっそり、年頃なんだしと自分自身に言い訳をしながら触って、色々と変化が起きるのを確かめてきた場所だ。順調にヒロトとの仲が進んでいると幸せに考えていられた頃に、自慰に耽って覚えた感触。そこが濡れそぼち、そして緩んでしまっている実感があった。
「なんてっか、やたらやり辛ぇけど……。ほら、股ぐらのここのさ。自分で分かんだろ?」
 ぐっと爪先まで力み返って暴れさせていた両腿の付け根に、コスチュームのスカートごとカザミが膝頭を押し込んできていて、
「あぅッ!?」
 大雑把に周辺ごとの圧迫を掛けてきた膝だが、それは逃さずヒナタの愛液まみれになった秘唇の一帯、丸ごとを愛撫してきたということだ。
 特に、敏感になってクリトリスが肉莢から顔を出していた所を圧し潰されたものだから、これはもう一堪りもない。
「あぅぅぅ……ンンン!」
 別の解釈を差し挟める余地もないほどの官能の嬌声が、思わずのヒナタから喉を突いて出ていたのだった。

 カザミというプレイヤー。GBNの中ではヒロトよりもずっと名前を知られた有名プレイヤーであるらしいのだが。しかしゲーム自体にはそこまで興味があったわけではないヒナタにとって、そこは意識するところでもなかった。
 ただ、大切な幼馴染がかつて以上に自分と過ごすよりもゲーム内の方へと意識を大きく割くようになったという状況を変えたかっただけだ。
 そのために幼馴染と同じフォースに参加した上での、メンバーの一人だったというだけ。
 それよりよっぽど気になっていたのは、遂に同じ土俵の上に立った筈の恋敵。そう睨んでいた方のフォースメンバー、ELダイバーのメイの方だったのだが。
 しかし怒涛のように状況が流れていってしまって、こうしている今。リアルではそう幾度も顔を合わせたことすらないような男に組み敷かれるヒナタが、否応なく自覚するのは、
(なんっ、なの……? これっ!? 触られてもいないのにこんな、こんなにしちゃうなんて……!)
 『ビショビショにしちまってんじゃねぇか』という言葉通りの、大洪水状態になってしまった自身の女そのものである部分なのだった。
「イクんだよ。知ってるよな、“イク”ってやつぐらい。そうだろぉ、ヒロト?」
「あ、ああ……。それぐらいの、言葉なら……知ってるみたいだったな」
「ひ、ヒロトぉ……!」
 乙女としては知らぬ存ぜぬで通したかったところ。か細い声の抗議は、一番信用していた相手にそれを告げ口されてしまったような、そんな居た堪れなさ、情けなさだ。
(ひどいよぉぉ……!)
 羞恥の極みだった。
 ムカイ・ヒナタはもう、何もかもが分からない。
 分かりたくない。
 なのにただただ、胸の先がとんでもない勢いで痺れるように気持ち良くて。(なんで私、まさか……)なのに、もっと引っ張って、もっと強く摘んで、もっと揺さぶって虐めて欲しいとすら――感じてしまう。
「あっ、あ゛っ、あ゛っ、ぁぁぁぁ〜っッッ!!」
「良ォし。ここまでなっちまえばもう秒読みだ」
 カザミがぐっと拳を握り込む。
 本来のGBNに組み込まれていた安全装置は、惑星エルドラには存在しない。
 争いが解決し、一見すると平穏そのものになっていたとはいえ、依然変わることなく存在しているその危険性を正しく認識することも無く。都合の良い解釈で喜んでいたヒナタは無防備に過ぎた。
 そこにいよいよ、悪意なき脅威のシステムが牙を剥きだしにしていたのである。

「アンタは! 俺に! このキャプテン・カザミ様に撃墜されてイッちまうンだよ! ちゃんと覚えて、次は『イクぅ』って可愛い声で啼いてもらうからな?」
「ぃ、イク……? わたっ、わたし……?」
「そうさ! 派手にイクんだよ。本番はこんなの目じゃねぇ。俺のこの雄々しくそそり立つパーフェクトグレード・チンポ様で! ぶっ刺して! ――良いんだよな、ヒロト? 代わりにメイを抱かせてやるんだからよ」
 カザミの確認に、いつものままの淡々とした声がすぐに返ってきたわけではない。
 それでも少女が一瞬でも期待した内容をヒナタが(嘘っ)と、裏切られてしまったのは、察しの良い女へと日々変化を遂げつつあるメイのその唇が、ヒロトの意識を自分にだけ向かせるようにして口付けたからだった。
「ヒロト、私とも思い出を作りたいと言ってくれただろう?」
「……ああ。そうだ。その通りだ――」
 揺れ動くかのようにも、苦いものに耐える風でもあった青年の顔は、それでもとうとうヒナタに向けられることはなく、メイのふくよかな胸に抱かれていたのである。
「そう……約束、した」
 追い詰められた少女がいる前で、そう口にしてしまう意味に。ヒロトの認識は及んでいただろうか。

 それで、もう――だった。
 もう心置きなくとばかりになって。それならもう仕方ないじゃないとばかりになってしまって。
 ピンと鋭く張り詰めさせた乳首を人差し指と親指でしごかれる度、ヒナタは甲高い声でくなくなと喘いだ。
「ああ゛っ、あ゛っ、あっ、あっ……わたひっ、こんなおっぱいで……乱暴にされてなのにっ」
「そうだな。もうスカートまで染みになっちまうくらい、感じちまってるんだもんな」
 そうしてまたグッと膝で踏み躙られたクリトリスにも、バチッと電流のような快美感が迸るのである。
「アンタがおっぱいだけで逝けるタイプだとはな〜。純情タイプかと思ってたけど意外とエロい体してんじゃん。こいつぁ、他の弱いとこも見つけて回るの楽しみだぜ」
 愛らしくも侵すべからざる神聖さをシンボルに込めて、ヒナタ自身がデザインしたゲーム内コスチュームだったのに。なのに、胸元を暴かれてそこだけ丸出しにされた乳房の有様、くねくねじたばたと汗にまみれた上体を晒して藻掻きくねる姿の、淫らがましさが、込められたテーマを致命的に破綻させてしまっていた。
「あっ、あ゛ーっ! いやぁぁぁ。おっぱい、イヤぁぁ……!」
 真っ白な膨らみが輝かんばかりの初々しい乳房を、円を描く手付きでこね回す、穏やかでねちっこい愛撫マッサージ。
 手形が残るほどギュッと絞り上げて、指の隙間で息継ぎを求めるように震える乳首を、ちろりちろりと絶妙に刺激してくる意地悪な舌先。
「あっ、あっ、あっ……。っッ、アーッッッ!」
 優しく揉まれて、甘噛みされて。乱暴にいじめられて、強く吸われて。素肌をピンクにのぼせさせた強制発情にまで誘導されている以上、なによりもう盛んにあんあんと切なく悩ましく悶えている以上は、言い訳が効かない。
 ぼろぼろに涙をこぼす程にもう、抗い通す気力も理由も削がれてしまったヒナタは、この後の本番に向けてと言って教え込んでおこうとしたカザミの目論見より、もっとずっとあっけなく素直になってしまって、叫んだのだった。
 イク、イッちゃいます、と。
 この強制された絶頂を受け入れると全面降伏したも同然の、その叫びで。
「あ゛っ、あ゛あ゛あ゛――っ。イクぅ……っ! イッちゃってるッ。わた、わたし……っッッ」
 嗚咽混じりの鼻声で、自棄のように大声で叫んで。言い切った直後を目を見開いた仰け反りの頂点に、かはっと小さな絶息で、少女は意識を飛ばしたのだった。


◆ ◆ ◆


 かつては振り返る者もいなかったカザミのプレイ動画の配信は大幅にアクセス数を伸ばし、奉られた渾名が「キャプテン」。
 名声を手に入れるのにつれて異性関係にもだらしくなっていったと聞く男に、虎視眈々狙われた挙げ句、遂に罠に嵌められてしまった。それ位はヒナタにも分かっていた。
 それにしたってどうせ、新しいトロフィーが欲しいなという程度にしか見られていないということも。
 そこは分かっているというのに。少女の頬には、一筋の涙が流れる。
「ぅぁ、あ……。メイ! メイ! 君と……こんな関係になるなんて。俺は――」
「そうだヒロト。そのまま奥まで、わたしの中にお前を受け止めさせてくれ……!」
 ヒロトはもう、彼女の方を見てはいなかった。
 しなやかでありつつもむっちりと成熟したメイの太腿を抱え込み、腹でくの字に曲げた体勢で挿入を容易にした彼女の膣奥に向かってペニスを突き入れると、一心になって腰を振り立てる。そのことに集中してしまっていた。
「そう! そうだ、ヒロト。ああっ、私には……分かっていたんだ。やっと気付いた。私の体が、私が生まれる前からお前とこうしたいと願っていたことを……!」
「信じ……られない。こんなに締め付けて、俺のをいやらしく――。まるで、まるでメイ、君は……!」
「ぁああ……、あぁぁ……。いい、気持ち良い……。ヒロト、もっとお前を、私に!!」
 互いの名前を呼び、他には目もくれずに体を揺さぶりあっている二人の姿は、よほど本物の恋人同士であるように見える。
「……メイのやつ、あんなこと言いやがって。サービス過剰だろぉ? 後でお仕置してやんないといけねぇな……」
 力の抜けた四肢をシーツに投げ出しているヒナタを跨ぐ格好で膝立ちするカザミは、横目を向けながら面白く無さそうにする。
 虚ろになったままの目で呆然としているヒナタだったが、別にカザミは彼女に自己憐憫の猶予を与えようというわけでもない。その姿勢で手早く脱いだ上半身のコスチュームを床に投げ捨てると、改めてもう何の抵抗も見せなくなった少女に覆い被さっていったのだった。

 GBN、すなわち「ガンプラバトル・ネクサスオンライン」を通じてアクセスする〈惑星エルドラ> という別天体。この大地に降り立つ時、彼らの取る姿は生身のそれではない。遺跡に残された古代科学の残滓たるナノマシン粒子によって物理時空に再現された、ゲーム内アバターそのままの写し身ではある。
 本物の肉体ではない。クガ・ヒロトの隣家に暮らすムカイ・ヒナタの躰ではないのだ。
 本物の彼女はこの瞬間もヘッドギアを装着して横浜のG-BASE店内に置かれたゲーム筐体の前に居る。
 だから、ゲームの外ではどこで何をしている人間なのかの興味もなかった相手に、いくら乳房をベタベタの唾液だらけにされてしまってしゃぶられていても、気にすることはないのだ。
(わたっ、私の体っ。本物は、綺麗なまま。綺麗なままだもん……)
 あっ、ああっと、アクメを味わった直後の荒い息をまた張り詰めさせるねちっこさで乳首を吸われていても、ヒナタは自分に言い聞かせることが出来た。
「よーし。それじゃあ、このややっこしいベルトみてぇな、ご祝儀袋の光水引みてーなコレ。これ外してアンタのパンツ拝ませて貰おうか」
 複雑な構造を自分で理解することを放棄したカザミが、愛撫の強弱でヒナタを促してくる。
(……本当の体じゃないから。違うんだから)
 自分に言い訳をしつつ留め具を外し、上着の前を開く。
 ぶるぶると震える手で、スカートを縛っていた花結びも解いていく。
 緩めたスカートを、腰を浮かせてお尻まで下ろすところまでは自分でやらされた。
「ほらほらほら、モタモタしてないで御開帳ぉ。……つっても、まだお漏らしパンツだけどな」
「キャッ!?」
 そうこうする間も内股になって膝をよじり合わせ、何とか隠そうとしていたショーツの有様。それも、がばっと太腿をこじ開けられて確かめられてしまえば、後は羞じらいも飽和してしまって何が何やら。ただただ快感に啼かされるばかりだ。
 ヌチャヌチャと恥ずかしい水音を立てられながら、股布の水を吸った部分をいじられるのも。そこを横にどかしてダイレクトに秘裂を弄ばれてしまうのも。
「ヒィッ、アッ、あふぅ――ンンンッ! そこっ、そんなにぃぃ……!」
「なんだよ、ヒロトには散々いじらせてたんだろぉ?」
 お腹側から改めてずっぽりと手を下着に入れてきたカザミが、ヒナタの薄いヘアーを指に絡めて遊ぶようにしてくる。
 くいくいと引っ張って、答えないと引き抜いてやるぞと暗に仄めかすわけだ。
「だって、こんなのわたし……! しら、知らないっ。刺激がっ、刺激が強すぎるの。こんなにされちゃうのなんて――。ヤダっ、やっ、やだぁ〜!」
「おぅおぅ、直にクリ豆いじってやったにしたって、そんなキツくなんかしてないだろ。ヒロトのやつ、ひょっとして下手か……?」
「違う! 違うもん。ヒロトじゃなくて……私、わたし今日、おかしい!? なんなのこれ? なんでこんなに――ヒッ、ヒィィィ……ッ!!」
「お、すっげ」
 どれどれとばかり、ほんの確認気分でヒナタの膣口に指を一本くぐらせたカザミだったのだが、少女が示した反応は予想を遥かに越えていた。
 瞬間、きゅっとカザミの指を締め付けて、そればかりか手のひらに軽く飛沫をすら飛ばしてきたのだ。
「アッ、あああッ……っッッ!」
 これだけで、ガクガクと首をうち揺すりつつ目に火花を飛ばすヒナタである。
「別に、入り口いじられただけで逝くぐらい感じやすいってんでもねぇだろ。いつもはさ。……アンタ、こいつはアレだな」
 カザミはいかにも楽しげに、良い発見をしたと言いたげな表情。そのまま顔を近付けてくる。
「お互いの女を交換してヤるっていう、このプレイな。スワップってんだが。……アンタ、こういうのが興奮するんだろ? それか、俺にこうやって抱かれるみたいに、好きな男とは別のやつに嫌々されるってシチュがツボなのかよ? 良い趣味してんじゃん」
「ちっ、違ッ。ンぁぁぁぁ!」
 もっと奥までとカザミがくぐらせた指が、そこだけでどれだけ今のヒナタが感じられるのか、内側から粘膜をくすぐり確かめて、可愛がってくる。
 ヌルヌルと指先にヒナタの沁み出させた愛液をまぶすようにしながら、『――ド変態』と囁いてくるのだった。
 勿論、少女は涙目で首を振りたくった。
「良いの、良いの。確かめるのは俺がやっから」
「そんなの、確かめなくて良いもん! 私っ、違うんだから。違うんだからね?」
「あいつらは聞いてないって」
 言い訳がましく必死になってみせても、ヒロトの方はメイの膣に最初の射精を注ぎ込む方にのめり込んでいる状態だ。
「ヒロト……」
「まぁ、なんだ。アンタ、別にそれ特殊な例ってわけでもないんだしさ、要は楽しみ方がどうかってだけだろ? 好みだよ、好み」
 さすがに哀れになったのか、また唇を噛んで堪えている少女に『例えば……』と他の女性ダイバーの名前を指折り数えてやるカザミだった。
「……嘘」
「ホントだって」
「みんなイイ具合に変態だぜ? 普段、お硬くしてます、マジメですってタイプほどエッチする時はエグいしな。ワタシ一途なの〜ってツラして恋人にべったりな女ほど、浮気エッチに嵌るンだよ」
「だって、ビルドダイバーズのサラさんっていったら……」
「うちのメイがELダイバーの妹だろ? その妹がド嵌りしてるエッチの相手っつーんで、なんだかんだで興味津々だったってワケよ」
「う、嘘でしょ? あのサラさんが、あなたみたいな人とだなんて……。あっ、あっ、あぁ〜」
 二本、三本と秘唇に咥えさせられる指を増やされていって、頬を紅潮させた顔をいっそう汗だくの艶っぽいものにしていきながらも、ヒナタは信じられないと瞳をわななかせるのだった。
 ガンプラバトルに幾ら疎いヒナタでも、最初に確認された電子生命体ELダイバーとして、そしてその抹消か共存かを問うた歴史的事件の当事者としても名高いサラのこと程度は知っている。その一件で世に躍り出た有名ダイバーの傍らに常にある可憐な存在は、現在のGBN内では半ばアイドル化されてもいるのだ。
 
「マジだって。かの名高き〈ビルドダイバーズ〉のリーダーと熱愛中のサラさんは、これまたフォース名『ビルドダイバーズ』であるところのリーダーたる俺のチンポとも、やっぱり熱愛中ってことで。今度、メイと重ねて姉妹レズさせながら代わりばんこにケツ上げさせて俺が突っ込んでるとこ、見せてやるよ」
 それよりも、と。
「なぁ、アンタ気付いてたか?」
 衝撃的な醜聞を教えられた衝撃と、渦を巻いて高まっていた淫靡な熱の籠もった下着の中を責め立てられるのに、じっと目をつぶって堪えていたヒナタを一旦開放。少女の足の方に改めて陣取ると、カザミは彼女の両腰へ腕を伸ばし、ショーツに指を掛けたのだった。
「俺様の知る限り、〈ビルドダイバーズ〉のペタンコ娘、モモはつるっつるのパイパン。〈AVALON〉のクールな副隊長、エミリアさんは意外な毛深さがドエロって感じで。そんで、アンタのは巫女さんらしく清楚な薄毛」
「なっ……!?」
 生々しく指摘され、ヒナタは耳まで真っ赤にさせて呻いた。
「別にキャラクタークリエイトの時にそんな設定項目があるわけでもないのに、なぁ〜んでそんな個性的なんだろうなァ?」
「それって……」
「答えはもう一つしかねぇだろ。リアルのをスキャニングしてアバターにトレースしてんだよ。つまり!」
 言ってカザミは、答えに行き当たったヒナタが慌てだすよりも一歩早く、一気にショーツを太腿から引きずり下ろして脱がしてしまっていたのだった。
「今度こそ御開帳ォ! アンタの、こいつが本物とそのまんま同じオマンコってわけだ!」
「い、やぁぁぁ〜!?」
 ぐいと力一杯に、もう下半身になにも履いていないヒナタの太腿をこじ開けてくるカザミの膂力。その逞しい二の腕はここエルドラにおいては見かけ倒しではない。
 食い止められるわけがなく、少女はオムツを履き替える格好と似たポーズで太腿の奥地を覗き込まれてしまった。
 櫛を通したように毛先を揃えたアンダーヘアと、それに楚々と飾られた白い秘丘。あられもなく大股に開かされた股ぐらを縦に一筋、下に向かっては密やかなアヌスの方へと刻まれた、肉の割れ目を。
 内側からの湯気が立ちそうな漏水著しい、ヒナタの居た堪れなさにまみれた発情秘粘膜を。
「いやっ、いやっ、見ないで! イヤぁぁぁ〜」
「おおっ。おほほっ、マジ清楚清楚。綺麗なピンク色してんじゃん」
 愛らしい顔を火を噴かんばかりにした必死の制止も暖簾に腕押し。カザミが顔を近付け、まじまじと見詰めるのだ。
 周辺の、一年を通して日焼けを知らない生白い肌が欲情の赤みを帯びている。それより尚、淫らがましさでは上を行く生々しいピンク色をした二枚の肉花弁。これからまだ、更に卑猥なかたちへと熟していく途上の、未だ幼気なくらいの小淫唇が顔覗かせた、17歳女子高校生の淫靡の女性器を。

「あっ、ああっ。やだっ、やだっ、やだやだやだ、やだぁ――!!」
 嫌だといくら言ってみても、すっかりヒナタの女が緩んでしまっている肉穴の入り口だ。次から次に、トロリと白く濁った蜜液が垂れ落ちてきている。
 ヒップへと伝っていった彼女自身の興奮の証は既に、シーツに幾つものシミを作っていた。
 それを間近に観察したカザミが、愉快そうに指摘するのである。
 日数にしてみれば、まだ幾らも経たない少し前。彼女の方こそが生唾を飲みながら、おずおずとヒロトに見せた時とはわけが違う。
 ヒナタはずっと深刻な動揺の只中にあった。
(あっ、ああっ、あっ。み、見られて……何もかも、わたしの……。見られてる! あっ、あっ、ああっ……!)
 身を揉む羞恥と、ただただの狂騒の坩堝。何らの意味あるリアクションも命令できず、思考は空回りし続けるばかり。
 しかし同時に少女は、一層の疼きと共にもあった。秘裂の縁に肉莢をぼってりとさせて、さっきまでさんざんカザミの指による甘美な責めの味を覚え込まされていたクリトリスを、尚ツンと膨らませつつもあったのだ。
「うっわ。マジで一皮剥いてやったら女ってやつは違ぇーな」
 愛らしく整った容貌であっても、喧伝する類の派手さとは無縁でいる少女の、あまりに露骨に淫らがましい有様だ。
 有名無名の何人もの女ダイバー達を食い散らかしてきた男も、そのギャップの効果には喉を鳴らした。
「乳首だけであれだけイケるんだ。こんなエロいクリ豆、しゃぶってやったらどんだけ跳ンじまうのか見てもみてぇけど……」
 スカートを剥かれる前から胸を責められるだけで散々嬌声を上げさせられたヒナタは、ヒッと思わず後退る。
「でもまぁ、そいつは後の楽しみだな」
 もう準備は十分だろ。そう言うといよいよチャックを下ろして、急角度に屹立した剛直を取り出したのだった。
 ヒナタがひゅっと息を飲んだ。それで、ここまで来てまだ覚悟が決まっていないかの素振りで嫌々と首を振るのも気に留めず、赤黒く膨れ上がった先端を肉割れのはざまへと押し当てる。
 ぐっと密着させて秘唇の間に食ませると、肉の花弁から流れた露が、カザミの竿を伝い落ちた。
「ぁ、ぁあ……」
 追い詰められて顔色を失った少女は、隣の寝台へ思わずといった風情で首を振り向かせたのだが、しかし何も言えないでいる内にくしゃっと表情を歪ませると、そのまま俯いてしまったのだった。
 長い睫毛が震えている。
 それでもう少女は、完全に大人しくなってしまった。
 明るい琥珀色に設定された瞳が、瞼の裏側に隠される。まだそこだけは純白のドレスに通したままだった腕を、中途半端に持ち上げかけた途中でシーツに投げ出す。
 脱力した手のひらが華奢な肩の左右に置かれた格好は、力なく降参を示している風にもカザミには見えた。
「行くぜぇ?」
 にやりと笑い、軽くだけ押し込んだ状態でクレヴァスを上下になぞって馴染ませてやると、ヒナタはこくんと僅かに、確かに頷いてみせたのだった。

「あぅ……ぅ、ううっ!」
 男を受け入れるのにぎこちなさが抜けきらない膣口を割り、最奥に押し当たるまでじっくりとカザミが腰を進めていく間を、ヒナタは何度も上半身をよじらせて堪えた。
「――あっ、あっ、あっ、あっ」
 既に、潤滑を促す愛液の潤いに不足は無い。
 やがて抽送が開始されると、少女は小さな喘ぎを上げていった。
 次第にその反応は、小ぶりな乳房が揺れ動く内、肩から上着が滑り落ちていくまでの身じろぎとして表れていく。
「ああっ! アッ、あッっ。なんだか……っ。あっ、あぁぁぁっ。――っ、ッっ!」
 それは、すぐ隣でヒロトの腰に跨ったメイがバストを弾ませている様と比べれば大人しいもの。ゴム毬が跳ねる勢いで自ら汗まみれの上半身を揺さぶっているという、ああいう風まではいかない。
 そうであっても。カザミが肉竿をねじり動かすように様々に角度を変えて、少女の内側の成熟しきらない構造を探っていくのに応じさせられている間には、負けないぐらいの大声が上がりだしていたのだ。
「ひう゛っ、うっ、あう゛っ、アッ! アッ、アッ!」
 ぶるぶると肩が震えると、精一杯に硬くさせた乳首を先頭に、控えめなバストの上にも振動が走っていく。
 もうヒナタは、ひっしと自分からカザミにしがみ付いていっていた。
 そうして細いウェストをびくんびくんと跳ねさせる。
 感じきっている反応を見せるヒナタに、カザミもご満悦だ。いよいよ嵩に懸かって腰を振り立ていいく。
「よーし、ノってきたじゃねぇか」
「も……良い。い、イイのっ。なんだって……どうだって……。ぁ、アッ、アッ、アッ!」
「楽しみ方が分かってきたってんなら何よりだ。それじゃ、そろそろ俺にばっかりさせてんじゃなくてさ」
「?」
 快楽に染め上げられた火照り顔でふぅふぅと息を吐いているヒナタに、カザミは顎をしゃくってやった。
「メイがヒロトのやつにしてやってる、アレだよ」
「…………」
 横たわったヒロトが男ながら色っぽい程に気持ちよさそうにしているのは、騎乗位で腰を踊らせているメイの奉仕の具合の良さ。そんな風に唆されたヒナタは、目元を顰めながらそれを見やっていたのだった。





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