South Side ”the slip of the tongue” edition
・・・・。
・・・・・・・。
異様だ。
サーキットの熱気も相当なもので、レーサーもメカニックも広報も料理番も、とにかく現地入りするとそこの空気を吸っただけで興奮してしまうのが常だ。細胞の一つひとつにサーキット独特の熱気が入り込み染み渡って、体の芯から熱くする。あれはもう異常な空間だと言っていい。一度あの感覚にやられるとなかなかレースの世界から抜け出せなくなっちまうワケだ。一種の麻薬みたいなもんなのかな。
が。
今のこの場の熱気はサーキットの熱気とは似て非なるものだ。似てるどころか全然違う。異様だ。
何というか、妙なプレッシャーを感じてるんだが大丈夫かな・・・・。
『Hi,there!Are you excited?』
『Yeah!!』
赤毛のコメンテーターが客席の方にマイクを向けると、耳をふさがないとならないほどの大音声が返ってきた。うちのチームのマシンは特殊だから、エンジンだって電子制御されてて音が大きくはない親切設計なんだ。大きな音には慣れてない。思わず鼓膜が破れるかと思ったぜ。
恐らくこの場にいる半数以上は妙齢の女性だろうから我がチームのドライバーだったら大喜びしてるところなんだろうが、あいにくオレはヤツほどのフェミニストじゃない。
おっと。あまりに異常な状況だったんで(また)説明するのを忘れてたぜ、このオレとしたことが。
改めて・・・っと。ハイ、ガイズ!元気だったかい?また会えてうれしいぜ。
もういい加減一部のお嬢さん方には名前が知れてきてるようだから自己紹介は簡単にいこう。サーキットのタイムと自己紹介は速くおさまった方がいいだろ?
オレの名はジェフリー・ガイ・カンパルスキー。元々はメカニック畑の人間だが、新生チームシュトロゼックはとにかく人手が足りないせいでマネージングめいたことを今は主に手がけている。
ちなみに、ジェフリーやジェフと呼ぶヤツもいるが、親しいヤツは大抵オレを『Big Messy』か『B.M』って呼ぶのでよかったらキミ達もそう呼んでくれ。
もちろん麗しきこのニック・ネームはオレが究極の散らかし屋であることからきている。オレの散らかしっぷりにはあのジャッキーだって感心するくらいだ。・・・・もちろん自慢にはならないが。
今オレはカナダ第三の都市、西端にあるバンクーバーにいる。もっと正確に言うとダウンタウン中心部にあるMTVの特設ステージ。
ま、特設ステージとは言っても、ある程度のスペースが作られていて、オレはパイプチェアに座らされてるだけだ。そばには赤毛のコメンテーター。そしてその向こうにはこんな狭い場所によくぞこれほど、と思うくらいの人だかりができている。そこはレース場の雰囲気とは明らかに違う、異様なほどの熱気に満ち満ちていた。
何でアーティストでも何でもないオレがこんなとこにいるのかって?そいつはオレが聞きたいね。どうもうちのスポンサーの一つである音響メーカーの重役が我がチームのドライバーであるジャッキー・グーデリアンの大ファンだとかで、急遽この席を設けたらしい。オレ達チームの一部は今日ここで会合に出席した後、一路ケベックに飛んでジル・ビルヌーブサーキットで行われる合同マシンテストに参加する予定なのだ。
もちろんフランツ・ハイネル監督もドライバーであるジャッキー・グーデリアンもこんなお遊びみたいな企画につきあう時間はない。メカニックたちも打ち合わせに忙しい。で、オレがこんな場所に駆り出されてるってわけだ。
『やっぱりファンの皆が聞きたいのはドライバーであるジャッキーのことだと思うんだけど、最近どう?彼の調子は』
「ああ、まあまあなんじゃないかな。元々むらっ気のあるヤツなんだけど、ゼックに来てからは監督が目を光らせてるせいもあって安定してきてるようだし」
オレがそう言っただけで、オンナの子たちがキャー!と高い悲鳴をあげた。別にオレ、何も特別なことは言ってないよな?
『監督って、もちろんハイネル監督のことだろう?彼があのジャッキー・グーデリアンを自チームに迎えたって発表した時にはみんな度肝を抜かれたよな。彼、奇抜な発想はマシンデザインだけじゃなかったみたいだね。ジャッキーとは相変わらずケンカばっかりしてるのかい?』
「そうだな・・・オレは元々S.G.Mからの移籍組だからハイネルさんがジャッキーをドライバーに呼ぶって聞いた時は心底心配したもんだけど、意外とうまくいってるな」
『でもケンカはしてるんだろ?』
「まあね。一日に最低でも3回はやらかしてる。でも、一緒に生活してるくらいだからそれほど険悪なわけじゃ・・・・な、なんだなんだ!?」
ゴジラに出てくるモンスターの雄たけびかと思ったぜ。一体なんだ!?あの怪音波は!・・・・というまでもなく、それは客席のオンナの子たちの黄色い悲鳴なのだった。
『え?今ジャッキーとハイネル監督って一緒に住んでるのかい?』
「普段はもちろん違うだろうけど、転戦先でホテルに泊まったりする時は『こいつが夜遊びしないよう見張らねばならんのだ!』とか言ってハイネルさんがジャッキーの面倒見てるようだけど・・・・って、うわっ!」
マイクを通してるオレやコメンテーターの声さえヘタしたら聞こえないほどの声、声、声。
ジャッキーが他チームのマシンを全部周回遅れにしてワールドチャンプを決めたらこれくらいの歓声があがるだろうか、と思えるほどの盛り上がりである。
なんだろう。監督とジャッキーのホテルの部屋が一緒だって知って、皆あの二人がそれこそケンカばかりしてるんじゃないかと心配してるんだろうか?とりあえずフォローでもしておくか。スポンサーとの折衝に動向する機会が多いわりに腹芸ができないと仲間内ではさんざん叩かれてるオレだが、なかなか気がきくよな、我ながら。
「同じチームにいるからこそわかるんだけど、あの二人、周りが思ってるほど仲は悪くないんじゃないかな。帰りもよく一緒になってるみたいだし、ハイネルさん、あんなに多忙な人なのにオレたちが心配になるほどよくジャッキーの面倒見てるしなあ・・・新妻だってあれだけ細々と同居人の世話できないんじゃないのかってよく思うよ」
『例えば?』
「食事もできる限り作ってるみたいだし、ジャッキーの体調が少しでも悪いとすぐに気づくんだ。そうそう、この前あんなことがあったな」
『どんなこと?』
『マシンテストをしてて、タイムもまずまず出てたっていうのに監督がいきなりピットストップの指示を出させたんだ。で、ジャッキーが出てきたらいきなり額と額を合わせてさ。こう、コツンと。何が起こったのか把握しきれなかったオレたちはみんなアゼン。でも結局ジャッキーにしては珍しく熱が出てたことが判明して午後のマシンテストはキャンセルになったよ。チームドクターなんか、『ジャッキーの基本的な体調は監督に聞くのが一番確実かつ迅速にわかる』って言ってたくらいだもんな。だから、言われてるほどあの二人の仲は悪くないと思うんだ。むしろ・・・あれ?」
オンナの子たちは、静かになるどころかますますヒートアップさえしてるように思える。
前の方にいる東洋系とおぼしきオンナの子たちなど、手を組み合ってキャーキャー騒いでるんだが、オレにはサッパリ原因がわからない。
あまりの騒がしさに少し不安になって、オレはひしめきあっているオンナの子たちの群れ(もちろん男も混じってるんだが、それは男の性としてほとんど目に入ってないわけだ)ではなく、その右へと視線を滑らせた。
そこにはオレが何を言うか気が気じゃないんだろう。多忙なスケジュールを塗ってムリヤリついてきやがった広報担当のヤツがいるのだ。
何?なんだよ、なんで両手でバツ印なんて作ってんだよ!
チームの監督とレーサーが不仲なイメージなんて、オレが作ったわけじゃないだろ?それどころかそのイメージを払拭するべくオレが頑張っているというのにだな、なんだよ、そんなに思いっきり顔を左右に振るな!
『ジェフ?あらぬ方を見てるようだけど大丈夫かい?まあハイネル監督がジャッキーの世話をやくのは分かる気がするんだけど、ジャッキーは大人しく監督の言うことなんて聞かないんじゃない?』
「そうだなあ・・・でも、内容までは知らないけど、ジャッキーのヤツよくハイネルさんに何かねだってるみたいだな。マシンに乗りこむ前に、よく二人だけで隅の方でごそごそやってるし。ああいう時のジャッキーってめちゃくちゃ楽しそうな顔してるし、ハイネル監督は怒ってるんだろうけど顔を赤くしてることが多いから、ジャッキーのヤツ、よっぽど自分に都合のいい条件を監督に持ちかけてるんじゃないかってオレあたりは鋭い分析をしてるんだけど・・・」
広報のヤツは、今やものすごい顔をしてオレをにらみつけている。ジャッキーが監督にねだってる内容なんて、どうせ『もっとメニューに肉を増やせ』だの『夜遊びを許可しろ』だの言ったどうでもいいような内容だろ?チームの機密に触れてるわけじゃなし、そんなに顔色かえて食ってかかるなとオレとしては言いたい。一体ヤツは何が気にいらないって言うんだ?
広報の憤怒の形相をよそに、このイベントは着々と進んでいった。
どうもオンナの子たちはレースの組み立てやマシンの調子といったことより、ジャッキーや監督の動向に興味があるらしい。オレとしてもチーム事情に深く立ち入るわけにはいかないので願ったりかなったりだと言うわけで、特に支障がないであろう二人のエピソードを披露していったんだが、そのたびに広報のリアクションが大きくなっていくのは気のせいじゃない。・・・ように思う。あいつ、何あんなにコーフンしてんだ?
管理を徹底させたいのか、ジャッキーとハイネル監督のオフはよほどのことがない限り重なってるんだとか、奔放なタチのジャッキーの生活パターンに合わせるのはさすがに疲れるらしくて、二人で早めにあがった日の翌日、ハイネル監督はらしくもなくとても疲れてるように見えるんだとか、時折二人一緒に突然姿を消すことがあるので以前は大騒ぎしたものだが今では皆慣れてしまっただとか、全く差し障りがない内容を話していったワケである。・・・ないよな?全然。チーム機密には触れてないワケだし。
機密といえば、オレと仲のいいメカニックのヤツが『ジャッキーとハイネルさんのことって、我がチームのトップシークレットと言えなくもないな』と言って笑ってたことがあったっけ。トップシークレットも何も、あの二人が犬猿の仲であることなんて衆目一致した見解だとオレは思うんだが。あいつ、ホント鈍いというか何というか、何にもわかっちゃいないよな。
まあこんな調子でオレはとりとめのないことを話していったんだが、そのわりにオンナの子たちはどんどんヒートアップしていき、広報のヤツは今にも目をむきそうな勢いだった。なんだか途中で携帯まで取り出して切羽つまった調子で電話までしてたみたいだ。・・・・なんだろう?
『いやあ、ジェフ、楽しく有意義な話をありがとう!残念ながら今回キミが話してくれた内容は非公開にするという約束になってるからオンエアはできないけど、貴重な話が聞けてうれしかったよ。・・・それにしても、ジャッキーとハイネル監督がね・・・意外というか納得というか』
コメンテーターの最後の一言はほとんどつぶやきのようなものでマイクには拾われなかったのだが、彼の隣に腰掛けていたオレにはもちろん聞こえた。何が意外で何が納得なんだ?
あ、広報のヤツ、あんなに髪をかきむしったらハゲるぜ、確実に。ただでさえアブナイってウワサなのに。
まあ、オレの役割もそろそろ終わりだろう。予定の一時間という時間がそろそろ過ぎようとしている。ふう。一時はどうなることかと思ったが、なんとか無事に終わりそうでよかったぜ。全く、いくら人手が足りないからってオレをこんなことにまで駆り出さなくてもいいようなもんだと思うんだけどな。
オレがほとんど終わったような気分で安堵のため息をつこうとした時だった。それまでも上がりつづけていた声が爆発的に高まった。
な、なんだなんだ?
「ハーイ、カナダのキュートなお嬢さんたち!」
突然よく通る声が響いた。オレのよく知っている声だ。
オレはそれが誰の声であるかを把握する前に声がした方を振り仰いでいた。
今や会場は大混乱。そう。なんと奥の方から話題の張本人が現れたのである。
我がチームが誇るCF屈指のドライバー、炎の星条旗ジャッキー・グーデリアンのお出ましだ。
あまりの迫力に、声だけで大木が倒れるんじゃないかと思えるほどの歓声が上がってるんだが、テンガロンハットを手にしていた方の片手をひょいっとあげただけでアッサリ応えてしまうあたりがさすがとしか言いようがないな。
もうこの時点で薄々予想がついてはいたんだが、その後ろからはハイネル監督までが現れた。比喩や誇張じゃなく、MTVタワーの壁面全体を覆っているガラスが、オンナの子たちの上げつづける声のせいでビリビリと揺れているように感じる。おいおい、万一ガラスがいっちまっても請求書は我がチームに寄越さないでくれよ?
うちはただでさえ新興チーム。金はいくらあっても足りないんだ。
ハイネル監督はビジネススーツ姿、ジャッキーはアロハにジーンズという、この地には全くそぐわない格好をしている。あーあ、監督なんて特に急いで駆け付けてきたんだろうなあ。
『ワーオ!今日ここに集まってくれたみんな!キミたちラッキーだな!こんなところで本人様に会えるなんて。それもジャッキーとハイネル監督、二人揃ってのお出ましだ!』
「いやまああの二人、大抵いつでも二人一緒に行動してるし」
「ジェフリー!ありもしないことをベラベラと話すんじゃない!」
「え?でも監督、貴方達っていつでもホントに一緒に・・・・」
「ええいうるさい、君はケベックでの合同テストの後、1週間の特別休暇を申請していたな。ジェフリー・ガイ・カンパルスキー!君は普段とてもよくやってくれているから許可したが、たった今その許可を取り消す!全く、言うに事欠いて何てことを吹聴してくれたんだ。なぜ私がグーデリアンのボケなどと!」
「そ、そんな、ハイネルさん!くそっ。あの広報のヤツがあなた達を呼んだんですね?あいつめ、後で覚えてろよ!」
「B.M、落ちつけよ。オレが後で何とかしてやるからさ。まあまあハイネルちゃん、そんなに怒ったらここにいるキュートなレディーたちが怖がっちゃうでしょ!?ハーイお嬢さんたち、ミーがいるからにはバッチリこの怖い監督サンから守ってあげるからノープロブレムね!安心してミーの広い胸に飛び込んで来なサイ!」
『ジャッキー、キミがそういうことを言うとホントに実行するコが出てきそうだから押さえてくれるかい?キミ達が突然出演してくれたのは嬉しいんだけど、彼女達興奮しすぎててSPたちも抑えるのに苦労してるんだ』
たやすく想像つくかと思うんだが、もう場は未曾有の大混乱に見まわれていた。
何しろジャッキーがちょっと手を振るだけでオンナの子たちは必死で押さえつけてるスタッフやSPたちを押しのけてこっちに駆けよって来そうになるし(それにしても、こういう時のオンナの子たちのパワーっていうのはすさまじいものがあるな!)、ハイネル監督はここがどんな場かも忘れてオレやジャッキーに説教しはじめるし、最初は場をおさめようとがんばってくれてたコメンテーターもしまいには笑い出しておもしろがっちまうし、広報の呆然とした顔には『一体どうやって後からマスコミをおさめればいいんだ!?』とロコツに書かれてる。
「そこのチャーミングなお嬢サン!そのエキゾチックな黒髪が最高にキュートだ。オレと後でお茶しない?ホテルの滞在先教えるからさ」
「グーデリアン!公共の場でそういうバカをするなと何度言ったらわかるのだ!」
「あ、それってヤキモチ?ごめんよハニー。どんなに恋愛遍歴を重ねても、”川が必ず海に行きつくように(プレスリー)”、男はただ一人のヒトの元にかえっていくものさ!だから安心してお前のダーリンを信じとけって!」
「誰がダーリンだ!このノータリンが!」
「ハイネルちゃん、マン・コンピュータの異名を取るユーにしてはヒネリが足りないんじゃないの?ソレ」
「くそっ!」
監督はとうとう腹に据えかねたらしく、ジャッキーに殴りかかるべく大きく上半身を振りかぶった。いろんなマシンのデバイスが散乱しているピット内でもしなやかな身のこなしで颯爽と歩きまわっている監督だが、ここはピットとは違う意味で足場が悪い。ああ、そんなにジャッキーだけに気を取られて歩いたりしたら・・・!
「監督!カメラやマイクのコードなんかがたくさん・・・・!」
「!」
オレの忠告は一歩間に合わなかった。ハイネル監督は狭い足場を縦横無尽に伸びていたコードの一本に足を取られ、体のバランスを崩してしまったのだ。
誰もがその次におとずれるであろう惨劇を予想して目を閉じた。のだが・・・・・。
「危ないぜ、ハイネル。平気か?」
落ちついた声がして、オレはそらしていた顔を元のように監督に向けた。見ると、ジャッキーの広い胸に監督がすっぽりとおさまっていた。どうやらレーサーにふさわしい常人離れした反射神経でジャッキーが監督を受け止めてくれたらしい。
アクシデントで我にかえった監督が、羞恥で真っ赤になりながら体を離そうと両手をつっぱってジャッキーの胸を押し返した。だが、大した力がかかっているだろうにそれを何なく受け止めたジャッキーは改めて監督の背中と腰に両手を回し、一度自分の方に彼の体を引き付けるようにしてからゆっくりと立たせてやった。
「大丈夫か?ケガは?」
「ああ、お前がとっさに受け止めてくれたおかげで大丈夫だ。・・・すまなかった、ありがとう」
「ユアベリーウェルカム」
いつものジャッキーからは信じられないような優しい声で監督の安否を確かめると、監督も常にはない柔らかな声で答えた。監督のわびと礼の言葉に、ジャッキーはいかにも彼らしいウインクでこたえる。
・・・・・もちろん、オンナの子たちは失神するんじゃないかと思うほど興奮のピークに達してる。二人のこんなやりとりを見慣れているオレや広報のヤツでさえも二の句が告げない状態だが、トークをするのが商売のはずのコメンテーターまで呆然と二人を凝視してるありさまだった。
ジャッキーは(レーサーのクセに)ハリウッド・スマイルと称される無敵の笑みをオンナの子たちに向け(男であるコメンテーターやオレは完全に無視だ)、ウインクをしながらこう言った。
「星の王子様はいつでもキミたちのことをこんな風に守ってあげるからね!じゃ、オレはちょっとヌけてるチーム監督さんが心配だから、つきそって帰ることにするよ。カナダGPの時はぜひシュトロゼック・プロジェクトのスターレーサー、ジャッキー・グーデリアン、ジャッキー・グーデリアンをよろしく!キミたちみたいな素敵なレディーに応援してもらえたら張りきって頑張っちゃうぜ!」
「グ、グーデリアン!ヒトの肩を抱くな!私はケガなどしてないと言っただろう。一人で十分歩ける、肩など貸していただかなくとも結構だ!」
「ハイネル。お前意外とヌけてるだろ?お前がいつまたコケるんじゃないかと思うと心配で心配で。オレって親切だから」
「何が親切だ、触るなというのに!このバカ!」
「誰がバカだって?何今更照れてんの、ハイネルってば」
「そういうことを言うのがバカだと言うのだ!」
こうして二人は退場。あの二人はいつもそうだ。いつも場を掻き乱せるだけ掻き乱して混乱させて、自分たちはさっさと二人だけでとんづらしちまう。
オレはその場をどうやって取り繕ったのかもう覚えていない。唯一覚えているのは、これだけはちゃめちゃなイベントになってしまったというのに、オレと広報以外は大満足だったらしいということだ。
特にオンナの子たちはいつまでも興奮さめやらない様子でつぶさにジャッキーがどうだった、ハイネル監督がどうだったのだと語りあっていたのだった。
・・・・後から聞いたんだが、このイベントはカメラチェックが徹底されていたためにマスコミ対策はそれほど大変ではなかったらしい。広報のヤツが心底ホッとした顔でそう報告してきた。
解せないのは、あの騒動のそもそもの発端が全部オレのせいにされたことなんだよな。あの二人がケンカしたのはオレのせいじゃないだろ?あの二人は二人揃えばいつだってケンカをおっぱじめるじゃないか!
広報のヤツ、あれのどこがケンカだとオレを恨めしそうに眺めながらしきりに繰り返したんだが、オレにはやはり、サッパリ意味が呑み込めないのだった。
あれがケンカじゃなかったら一体何だって言うんだ?
何度かチーム会報に載せるためだったり、雑誌の記事にするためだったりと筆をとってきたオレだが、見せる前から今回のコレもボツを食らいそうな予感がヒシヒシするぜ。
だがオレも何かあったら筆をとるクセがついてしまったようだし、前回同様いつか自分自身、あるいは家族と共に読み返すために筆をとりつづけるのも悪くはない。
幸い、監督とジャッキーがいっしょにいる限り、浅学非才なオレでもネタには事欠かないようだしな。
そうそう。あわや許可取り消しの憂き目を見るところだったオレの休暇申請だが、ホントにジャッキーが口をきいてくれたみたいで、無事休みをとることができた。でも、ちゃっかりジャッキーまで予定になかったオフを三日ほどもぎとったみたいなんだよな。もちろんハイネルさんも同じ時期に。あいつ、ホントは自分がオフ取りたかっただけなんじゃないのか?
まったくこのチームにいると騒動ばかりで落ちつくヒマがないぜ。
飽きなくていいだろうって?
まったくだ。オレはこのチームもマシンもスタッフも何もかもが大好きだ。愛してるぜ。
Love you,guys!
もちろん、こんなオレたちのチームをサポートしてくれてる人たちも愛してる。落ちつきのないチームではあるが、次戦もぜひシュトロゼック・プロジェクト、シュトロゼック・プロジェクトをよろしく!
・・・・オレも大分ジャッキーのヤツに感化されてきたかな?
この後書きはとても長くなってしまいそうです(いつも私の後書きは長いですが)。内容はいつものごとくありませんので、読み飛ばしてやって下さい。以下気の長い方だけおつきあい願います。
私はどうしても照れがあって自分が実際に体験したことや場所はまず話に出しません(だから私の話には説得力がないのか・・・今更)。今回自分が住んでいたバンクーバーを持ってきたのは自分が住んでいたからではなくて、リクを下さったといきゃっとさんが普段移動可能な範囲でしかも大都市、という理由からです。といきゃっとさんにちょっとでもB.Mに会った気分を味わっていただきたくて・・・・・・・全然うれしくないですよね、すみません!(笑)※念のため。ダウンタウンのMTVは、実はつぶれてなくなっちゃってます・・・(笑)。その辺りは完全フィクションです。バージンレコードにした方がよかったかな?でもフィクションなので。
そして、グーハーはやっぱり原作があるキャラだし、あんまりオリジナルキャラに強い個性を持たせるのはよくないかな、とは思うのです。(話がそれますが、サイバーはもともと個性的なキャラがたくさんいて、パラレルなどを書きたい時もキャラ配置がしやすくていいですよね。)
自分が読む分には私は好みの範囲がかなり広いですし、オリジナルキャラが活躍している話にも大好きなものがたくさんあるのですが、あまりオリジナルキャラが存在を主張しているお話は苦手だったり嫌いだったりする方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。そういう方には申し訳ありません。
まあそういうわけで、このシリーズはあらゆる意味ではみだしっ子なわけです(笑)。でもまあ私の書く話自体がグーハー界のはみだしッ子という気がしないでも。今更か。
B.Mは私が思ってたより好きだって仰って下さる方が多くて(よ、4人くらい。・・・・・私にしてはすごい数です)調子に乗ってしまっているので不快に思ってらっしゃる方もいるのではないかと思います。これはお遊びみたいな企画だと思って大目に見ていただければ幸いです。しかし正直な話、B.Mの話めちゃくちゃ書きやすいですよ!散らかしッ子仲間だからでしょうか(笑)。
そしてついでだからこの場で言っちゃえ。「Big Messy」が彼のあだなの正式名称(?)ですが、ホントは英語的には「Big Mess」の方が正しいかと思うのです。私は英語に明るいわけではないし、「ビッグ メス」より「ビッグ メシー」の方が語感が好きだったのであえてそういうことに。ゼックやツェンダーにも私みたいな英語に不安のありまくるスタッフがいて(笑)、そこから広まったんじゃないかと推測しています。いつか言おう言おうと思いつつ今更になってしまいました。
「Long time no see.」という有名なフレーズみたいに、ノンネイティブの使っていた間違った英語をネイティブも使うようになった例もありますしね!長い言い訳(笑)。
私が原作設定のグーハーを書く時にもその世界にB.Mは存在しているかもしれませんが、こんなに出張ったりはしないので(笑)見逃してやっていただけるとありがたいです。
もしオリジナルキャラが出てくる話でもOKという方がいらして、ついでに私の頭悪そうなグーハーでもOKという方がいらして、そういった方がB.Mを好きになってくれたらとてもうれしいです。えらい確立低そうだな(笑)。
そして最後に。これまでこのシリーズやB.Mを好きだと言って下さった方々に感謝の念を捧げます。ホントにありがとうございました!いくら厚顔無恥な私でも、好きだって言って下さる方がいなかったらこんなにたくさん書けませんでした。何よりリクを下さったといきゃっとさんに深い感謝を。
こんなところまでおつきあい下さった方、本当にありがとうございました。