※子供グーハーのイラストに皇飛楓さんがステキな小説を書いてくださったので、小説だけ残させていただきました!

 

「だって、アイツ話し掛けても無視すんだもん…」
 唇を尖らせたジャッキーはそう言って瞳を窓の外へと逸らした。
 窓の外、ジャッキーとロバートとが選んで植えたレモンツリーの影からそっと顔を覗かせたのはジャン。
 先程から、早く来いよ!と何度も手招きをしている。
「でもな、ジャッキー。誰だって知らない土地で知らない人に囲まれたらどうしていいか判んなくなっちゃうだろ?だからみんなで…」
「もぅ、イイんだってば!」
 従兄弟の言葉を遮ってジャッキーは開かれた窓から軽々とその身を外界へと踊らせた。
 蜂蜜色の収まりの悪い髪を風に靡かせ、一目散に駆け去る。
 残されたロバートは首の裏を掻きながら咥えていたタバコをアシュトレイに押し付けた。
「全く…」
 吐き捨てるように呟いたロバートの顔は、それでも目に入れても痛く無い程に可愛い従兄弟の心情を知っているのか、柔らかなものだった。

「あの家に越してきたヤツ…フランツ・ハイネルって言うんだろ?」
 興味深そうに尋ねてくるジャンに、何故かジャッキーは不機嫌になる。
「ドイツ人だって?ずーっとジャッキーのお隣さんなの?それとも、仕事か何かで、ちょっとの間だけなの?」
「知らないよ、あんなヤツ。つまんないよ、遊んだって」
「そぉなの?」
「そうだよ。だから遊んじゃダメだよ」
 ふぅん…と気の無い返事を遣すジャンに何度も念押しをしてもジャッキーの表情は晴れなかった。









 夜の静間が街並みを包み、空に輝く満天の星々に照らしだされたレモンツリーは、まるで星が実っているかのように見え、暫し見惚れた。
「フランツ…」
 振り返れば黄金の鬣を風に吹かれるに任せたライオン。
 収まりの悪いそれを抑えた赤いバンダナ、瞳と同じ青いシャツ。
「ジャッキー…」
 ふたりはそっとレモンツリーの下に腰を下ろす。
 ジャッキーがシャツの下からアイシングペーパーに包まれたアップルパイを出せば、フランツは緑のシャツの背に隠し持っていた小さな魔法瓶を取り出す。
 蓋を廻せば香り立つ紅茶の芳香。
 誰も知らない二人だけの真夜中のピクニック。
「今日さ、ジャンがフランツの事、色々訊いて来たんだ」
「ジャン?あぁ、お前の幼馴染だって言ってた…」
「ダメだよっ!ダメなんだから……フランツは俺だけのなんだから!」
 見つめる天空の蒼に雨が降る。
 そっと白く細い指が雫を拭う。
「うん。判ったから…」
 深緑の瞳に映る天空の蒼。
 互いの瞳に互いしか映らなくなり、そっとその姿を消せば、触れ合う唇。
 触れるだけの、初めてのキス。
 それを知るのは月明かりだけ―――


  今だかつて、これほどまでに充実したキリ番企画があったでしょうか!?(笑)あんなイラストでこんなステキなお話がいただけるんなら、がんばって3日に一枚くらいはイラスト描いちゃいます(笑)。
 皇 飛楓さんが書いてくださったのですが、皇さんの書くお話は、情景が浮かびやすくてとっても好きです。そして、このお話のグーハー二人の伸びやかなこと!子供っぽいヤキモチを見せてくれるグーがかわいくてたまりません。
 皇さんのHPで、この幼い二人のお話を連載してくださらないものでしょうか・・・などと、思わずドリームにひたっちゃうくらいステキなお話でした。
 皇さん、本当にありがとうございました!
 ・・・・って、完全にいただきものコーナーになってしまってますね(苦笑)。も、もしよろしかったら、またキリ番踏んでやってくださいませ・・・。

                        


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