9月8日〜2年目〜
「聞いているのか、グーデリアン!!」
「細かいことに、いっちいちうるせ〜なぁ〜」
ソファーにどっかりと腰を下ろし、欠伸までしているサイバーフォミュラ『シュトルムツェンダー』のエースドライバー。
『星の王子様』と世間で称され、いつも両手どころか周囲に美女を従えて、マスコミには笑顔とジョークと騒動を常に提供しているジャッキー・グーデリアンさん。
監督が青筋を立てて怒っているときにさえ、いつもの姿勢が全然変わらないのはある意味すごいかも。
「貴様のせいで、どれだけ予算を組み直していると思っているんだッ!
少しは反省という言葉を理解しろっ!!!
しかも今週に入ってから、トレーニングをサボってメニューを計画通りこなしてないらしいな!!
また数値変動でスタッフを徹夜させる気か!!
ドライバーとしての自覚が足りなさ過ぎる!!!!!」
その後方を、書類片手に行ったりきたりしているチーム監督。
眉間にまで深い皺を刻み、イライラ。
離れて見ていても、怒りのボルテージがぐんぐん上がっているのが分かる。
チームスタッフなら、縮こまって真っ青になってる・・・かな?
長年この監督の『妹』をしているけど、ここまで他人に対して怒っている姿はグーデリアンさん以外に未だ見たことは無いからあくまで推測。
今朝の練習走行で、一時間も走らないうちにエンジンブロウ。
うまく停止できなくて、コーナーに接触。
マシンの損傷がいつもより激しく、ドライバーの応答もすぐに復帰できなくて現場は大騒ぎになった。
同じレース場で、『シュトロゼック・プロジェクト』のドライバーとして走行していた兄は、応答しないマシンを前にしばらく立ち尽くしていた。
その後『シュティール HG-162』から本人が自力で脱出。
グーデリアンさんには目に見えて分かるようなケガも無く、ブゥブゥ文句言いながら精密検査を一応受けに行ったんだけど・・・
病院から帰ってきたグーデリアンさんが監督室に顔を出した途端、いつもどおりのお説教を始めるなんて!!
もう、素直じゃないんだから!!!
ちょっとくらい、心配してたんだぞって言えばいいのに・・・私は心の中でため息。
兄は相手の態度に腹を立て、持っていた厚さ1cmの書類を力尽くで丸めだした。
あれで叩かれたら、かなり痛そう!
兄は振りかぶって、グーデリアンさんの頭を後方から狙ったけど、
「当ったるわけないでしょ〜」
あっさりかわされて、更に舌まで出され、カッチーン。
あぁ、もう〜!!
コミュニケーションの1つと考えているグーデリアンさんには、楽しい状況なんでしょうけど。
兄にとったら、怒りに眩暈さえしてるんじゃないかしら!?
「そんな無駄な反射神経があるなら、接触せずにマシンを止めんかっ!
これ以上マシンを破損させるなら、貴様の給料から差っ引くぞ!!」
「えぇ〜、横暴な監督さんだな〜
オレだって好きで壊してんじゃいないんだぜ?
せめて直線コースなら、コーナーにも接触せずに止まれただろうけどさ〜」
「リタイア大王のお前なら、それが出来るくらいコースで接触回数を重ねているからな・・・って、違うだろう!!
私のマシンを、好きで壊されてたまるかっ!!」
お、お兄様・・・額と首筋に血管が!
この後は、エンジンブロウの原因究明会議も控えているし。
そのせいでずらされてしまう予定調整もしなくちゃいけないし。
予算をスポンサーから集めるために、パーティとかいろんな準備も始めなきゃいけないし。
ドライバーとしてのトレーニング時間も、これ以上減らすわけには行かないし。
ただでさえ監督業に押されて、トレーニングの時間が取れていないお兄様。
あぁ〜、もう!!
これ以上、見ているだけなんて出来ないわ!
パンッ!
私は一歩前に出て、両手を勢いよく合わせた。
コミュニケーション終了の合図。
「監督、時間がありません。
グーデリアンさんもですよ!
身体的後遺症も無いってことですし、室内トレーニングに向かってくださいね」
「えぇ〜、また筋トレかよ〜
なんか最近、リサちゃん厳しくない〜?」
せっかくいいとこなのにって、目で語ってくれなくても分かってますって!
でも、時間が無いんです!!
「コーナリングのGに耐えるために、全体の筋肉をもっとつけなくちゃいけないって決まったじゃないですか!
マシン走行がすぐには再開出来ないから、きっとトレーニング室でケリーさんが待ちかねていますよ〜
先週からサボっていた分以上に、頑張ってきてくださいね〜」
手を振って送り出すと、チェッと舌打ちしながら扉の向こうにグーデリアンさんは消えていった。
「はぁ〜」
ため息をついて、椅子に座りこんでしまうお兄様。
すでに頭の中では、予算編成の計算中ね。
せっかくの新型エンジンも、練習走行だけで何回ダメにしていることか。
その原因にはマシントラブルもあるけれど、グーデリアンさんとマシンのコンビネーションがうまくいかずにそれが故障に繋がっていることもある。
『精密機械』と言われているお兄様が、誠心誠意込めて作ったマシン。
それは精密すぎて、ちょっとの誤差が命取りになりかねないのよ。
それなのに、ちっとも各数値と走行の連動性を理解しようとしないグーデリアンさん。
(お兄様曰く、『原始人に教える方が、まだ素直に吸収するだろうから楽だ!』)
一人と一台が最良の走りをするまでには、多少の犠牲は仕方ない。
天文学的数字に近づかないように、スタッフも毎回お祈りはしてるんだけど効き目が薄いみたいね。
グーデリアンさんには理論立てて説明するより、走ってから相性を深めてもらうしかない!というのがこのチームの諦めに近い現実。
お兄様は、自分で設計したマシンというのもあるんだろうけど、グーデリアンさんよりも走行練習で設定を多少変えても乗りこなすのが早い。
だけどデータを見ている限り、グーデリアンさんがその後に必ずといっていいほどそのタイムを上回って好成績をたたき出すのよね。
めちゃくちゃな走行ラインなのに、なんでお兄様より早いのか私も見ていて不思議なんだけど・・・
事実グランプリでも、フィンランドでグーデリアンさんがリタイアした時を除いて兄の方が毎回順位が下。
ケリーさん曰く、『ハイネル監督は個人の成績よりも、次回のレースに向けたデータ収集を一番に考えているからまずは完走することを大前提にした走りをしているんですよ』ってことらしい。
それって、自分が順位にこだわらなくても、同じマシンで走るグーデリアンさんが優勝して自分のマシンの優秀さを証明してくれるっていう信頼の証じゃない?
本当に仲のよろしいことでって、その時はちょっとうらやましかったな。
ドライバーとしても、監督しても、2チーム分のいろんなことで頭を痛めている兄。
せめて、私にも直接お手伝い出来ることがあったらいいんだけど。
静かに部屋を出て、コーヒーを入れに給湯室に向かう。
今している仕事といえば、ハイネル監督のスケジュール管理や両チームのレース情報管理の補佐とか・・・兄の補佐はしているけど、直接負担を軽減しているという実感はない。
他に何か無いかな〜
スタッフとして出来ることは、優秀なほかのチームスタッフには敵わないし。
妹だから出来ることって言うか、妹だから気付けることって言うか。
何か、私が兄に出来ること。
豆を挽きながら考えてみるけど・・・兄に出来なくて、私に出来ることなんて思いつかないんじゃなくてない気がする。
「お、リサちゃん!
それハイネルちゃんに持ってくの?」
悶々と悩んでいると、給湯室の扉をノックして明るく入って来たのはグーデリアンさんだった。
「グーデリアンさん!?
トレーニング室に行ったんじゃなかったんですか・・・?」
「行く前に、なんか甘いもの食べたくなっちゃってさ〜」
私の頭上の扉を開けて、こっそりと(多分お兄様以外には知れ渡っていると思うんだけど)隠している自分専用お菓子箱からクッキーの箱を取り出して私にも勧めてくれる。
「このチョコチップ、美味しいんだぜ」
「ありがとうございます」
コーヒーサーバーからコーヒーが落ちるまで、一枚クッキーを受け取り頂くことにした。
「ハイネルのヤツ、かなり怒ってたよな〜
しばらく口もきいてくんないかもな
どうしよう、リサちゃん?」
「全然深刻そうじゃないし、むしろ口元笑ってますけど?」
「あはっ、バレてる?」
グーデリアンさんはおどけながら、棚から出したお皿にクッキーを数枚置いて兄用へのセッティングも終了。
「あまり怒らせないでくださいね」
横に並んで一緒にパクパク。
甘い物好きのグーデリアンさんが選んだにしては、そんなに甘くないかも。
たまに、胸焼けしそうなくらいあまーいチョコレートやアイスクリームを食べているんだもの。
体脂肪率がなかなか減らないのは、この間食のせいね。
「そういわれてもさ〜
ハイネルから絡んで来るし、相手しないとかわいそうだろう?」
フフーン♪と鼻歌。
楽しそうですね・・・
走行中やピットでレースについて話しているときは、ドキッとするくらい真剣な眼差しをしているグーデリアンさん。
今は兄相手になにをたくらんでいるのか、キラキラいたずら小僧みたいに瞳が輝いている。
この普段とレースをしているときのギャップも、女性のハートを数多く射止めてきた要因なんだろうな。
世間を騒がせていた女性との噂は、徐々に減って来ているようだけど。
今マスコミに騒がれている量は全盛期の半分くらいになってるって、ゴシップ報道の相手をしている広報スタッフはホッとしているもの。
何人もの女性を口説いてきたこの唇は、今は私の兄に愛の言葉を紡いでるんだよね?
・・・変な感じ。
兄とグーデリアンさん。
二人の仲は、ライバルで、同じチームの監督とドライバーで、親友で、戦友で、そして・・・恋人。
チームに来る前から、わかってはいたことなのよね。
私の知っている『兄』では、絶対有り得ないことだったからかなりびっくりしたけど。
監督付のスタッフになってから、二人をスタッフの誰よりも間近で見てきた。
同じチームになったっていうのもあるんだろうけど、雰囲気が変わった気がする。
乱闘もするけど、グーデリアンさんは完全にコミュニケーションとして楽しんでるし。
漫才にしか聞こえない口げんかもするけど、ハイネル監督はストレス発散になってるんじゃないかっていうくらいイキイキ楽しそうにしていることもある・・・こっちは、たまに、だけど。
そんな二人を見ていると、不思議と邪魔する気持ちは起きなかった。
まぁ、クリスマスに電話したときに聞いた、兄のあの艶めいたあまーい声が決定打だったんだけどね。
未だに。
あの堅実で、真面目で、告白してきた同性愛者に容赦なくボクシングで応戦していた兄が。
このグーデリアンさんと二人っきりになったとき。
どんな感じになるのか。
・・・想像すら出来ないし、普段の2人を見ていると幻聴だったのかしらって思うこともある。
でも。
なんにでもすぐのめり込みすぎちゃう兄を、うまく息抜きさせてくれていたり・・・グーデリアンさんの兄への気遣いって、妹から見ても絶妙なタイミングの時が多い。
お互い必要なんだって(兄は分からないけど)、グーデリアンさんは意図的に会話とか動作で周りに分からせてるっていうか。
公私混同を避ける兄よりも、グーデリアンさんはあまり隠す気がないみたい。
どれだけのスタッフが、二人の関係が『恋人』だって気付いているか分からないけど。
両チーム黙認の『ケンカもするけど大親友』な二人。
私が兄の立場だったら、グーデリアンさんを計画通りに動かすなんて簡単なことだと思うんだけど・・・あぁ!!
「在った〜!!!」
兄に出来なくて、私にだから出来ること!!
「へ!?」
突然思いついたことに思わず声を上げてしまい、隣のグーデリアンさんにビクッとされてしまった・・・
「どうかした、リサちゃん?」
「ん〜、ちょっと」
にっこりと笑ってみるけど、さすがに兄と長い付き合いのグーデリアンさん。
同じハイネル家の特殊な何かを感じて、一歩後退していた。
うん、それ、間違いなく野生の勘が働いてますよ、グーデリアンさん!
「監督、どうぞ」
いつの間に戻ってきていたのか、そっと差し出されるブラックコーヒーと数枚のチョコチップクッキー。
「何か心配事?」
パソコン画面から目を離し、心配そうに見詰める妹に微笑み返す。
「いや、大したことではない。
ありがとう、頂くよ」
近親者をチーム内に入れることに、多少の抵抗はあったが・・・私にとっても、チームにとっても、リサの存在は無くてはならない存在になっている。
様々なことを並行して考えることが多い私が、心身ともにリラックスできる時間は少ない。
一人で休憩をしていても、仕事に関して考えることをなかなかやめることが出来ない。
けれど、リサかグーデリアン。
どちらかが傍にいてくれると、フッと自然に力が抜けるのだ。
それに私と違って、人懐っこく周りを明るくするリサがチームに入ったおかげで雰囲気も格段良くなった。
素人だから気付ける盲点を、会議で何の気負いもなくさらりと発言したり。
疑問に思ったことがあれば、スタッフを空き時間に捕まえて理解できるまで説明を求めている姿も何回も見た。
リサは、スタッフとしても妹ながら優秀だ。
「・・・?」
コーヒーを飲み始めても、私の前で動かないリサ。
何かあったのか?
「どうか、したのか?」
「今、ちょっとだけ時間よろしいですか?」
「かまわないが?」
幾分、瞳が輝いているような気がする。
悪い知らせではないらしい。
コーヒーカップをソーサに戻し、リサにソファーに座ることを進めるが立ったまま。
私の横まで歩いてくると、両手をギュッと握られる。
「あのね、お兄様」
「な、なんだ?」
顔をググッと近づけられ、思わず後ろにのけぞる。
「もしグーデリアンさんが、走行メニューはメンタル面も関係してくるから難しくても、筋力や体力強化プログラムをきっちりこなしたら・・・マシンとの数値あわせもかなり楽になってお兄様の負担が軽くなると思うの!」
急に何を言い出すのかと思ったら・・・
ずれかけたメガネを直し、苦笑。
「それは、確かに軽くはなる。
目標数値を下回る度に、マシンに対する様々な耐久力や走行プログラムを計算しなおしてそれぞれ担当のスタッフと何度も打ち合わせをしなくてはならないからな。
だが・・・」
いくら言い聞かせても。
スタッフに専属で監視させても。
グーデリアンのバカは、ランニング途中で行方不明。
目を放した隙にトレーニング室から脱走。
バーチャルマシントレーニングでは、設定を変更している間に消えていることすらある。
リサはチームスタッフとして働いてはいるが、分野専属スタッフではなくオールラウンドスタッフ。
しかも、仕事の内容はまだ全体管理の一部を任せているだけだ。
昔からグーデリアンと面識があるとはいえ・・・
戸惑う私を尻目に、リサの瞳はキラキラ輝きを増していく。
「これから・・・そうね、1ヵ月間!
グーデリアンさんが、筋力・体力トレーニングをサボらず目標まで真剣に頑張ったら」
ギュッと力を手に込められ、更にリサの顔が近づいてくる。
「1ヵ月間!?
あのグーデリアンがそれだけの期間、全くサボらずにきっちりこなすなど・・・チーム設立時からないことだぞ?」
「でも、それが実現できたら、かなりお兄様の負担が軽くなるんじゃない!?」
それは、かなり助かるが・・・
「あ、あぁ」
リサの気迫に圧倒されて思わず頷く。
「私なりの方法で、ちょっと試してみるから・・・明日から楽しみにしていてね!」
クルッと向きを変え、監督室から軽くステップを踏みながら楽しそうに出て行くリサ。
あのグーデリアンに、トレーニングをサボらせずにしかも計画通りに進ませるなどと・・・無理だとは思うが、な。
リサなりに私を気遣っての言葉だろう。
その気持ちだけでも、ありがたい。
私は先ほどよりも少し力を抜いて、データ比較の並ぶパソコンへと再び視線を戻した。
リサがグーデリアンのサボり癖を1ヶ月間治すといってから、2週間。
私の手元に来るトレーニング結果一覧に、変化がはっきりと現れだした。
あれほど嫌がっていたランニングも、毎日黙黙とこなしているらしい。
スタッフ全員不思議がり、一部ではグーデリアン宇宙人寄生説まで面白おかしく流れている。
それはバカバカしいとは思うが、一体リサはどんな方法を使ったのだろうか・・・
あのグーデリアンが計画通り動くとは・・・本当に不思議なことだ。
廊下を歩きながら、上昇している筋力のパーセンテージと目標値との比較表を分析する。
その差を埋めるための期間が、計画よりも随分短縮出来そうだ。
マシン走行へ時間を振り返ると、シュティールの走行パターン収集がもっと出来そうだな。
「ハイネル〜」
上機嫌で考え事をしていた後方から、グーデリアンの声が追ってくる。
振り返ると、濡れた髪をタオルで乾かしながら走ってくるグーデリアンが見えた。
どうやら、シャワー室で汗を流していたようだ。
星条旗柄の派手なトレーニングウェアは、遠目からでも間違いようがない。
走行を終えて、これから筋力トレーニングといったところか。
「グーデリアン、最近調子がよさそうだな」
「そんなデータより、本人に直接確認してよ〜
ハイネルと離れすぎて、禁断症状が出そうなんだから〜」
私の前で立ち止まり、壁に背を預けて口を尖らせる。
「昨日も、会ったではないか」
グランプリ前の最終調整で、全スタッフが寮で缶詰状態。
私とグーデリアンの部屋は同じフロアにあるため、その廊下や寮内の食堂、この施設内で毎日出会っている。
「こういう会話ゼロじゃ〜ん!!」
「お互いレース前で忙しいのだ。
仕方ないだろう」
書類をグーデリアンに預け、タオルで濡れた髪を拭いてやる。
濡れるとクセ毛が目立つな。
「どのチームも、新しいマシンやエンジンの投入に余念が無い。
次のグランプリコースも発表され、時間はいくらあっても足りないくらいなのだ」
「でもさ、寂しくなったりしないわけ?」
私の肘を取り、やんわりと抱きしめながら私を壁際に立たせる。
「誰も、今は、いないしさ」
耳に囁かれる声は、掠れたテノール。
後方に髪を梳かれ、自然上がった私の顔にグーデリアンの顔がゆっくりと近づいてくる
「・・・バカモノ」
口ではそういいながらも、その腕を無理に解かせず身を任せようとしたのに。
何度も重なりあう唇とは裏腹に。
背中に回されていた手が徐々に下がり、尻を無遠慮に撫でまわしはじめた!
タオルをその口に押付け、書類を奪還。
それで思いっきりその頭を叩いて離れる。
「貴様〜!!」
「ひっでー!!
叩くことないじゃんか〜!!」
「叩かずにおれるか!!!
この大事なときに、何をしようとしておるのだ!!!!!」
自分の身なりを見直すと、すでに上着のボタンがいくつも外されていた。
計画通りにトレーニングをするようになっても、性格や手癖までは直せていないようだなっ!
「首筋まで赤くしちゃって!
相変わらず可愛いな〜」
こちらは怒っているというのに、グーデリアンは目を細めてワケの分からないことを口走っている。
「レースが近いのだ!!
レースのことに集中したいと、この前言ったばかりだろう!」
「でもさ、一昨日はハイネルのほうからオレの部屋来たじゃん」
「あ・れ・は!!
トレーニングをしっかりしているなと、褒めに行っただけだ!!」
それを、それを!
「だから、御褒美貰ったよ」
ケロッと言うな〜!!!!
「次の日どれだけ大変だったと思っているんだ!」
「オレのデータは、上々だったぜ〜?
それに。
キスだけ、見るだけ、触るだけ、って段階踏んでいったのにさ。
オレの耳元で、『このまま、中に』なーんて可愛いおねだりしたのはハイネルだし」
タオルをブンブン回しながらにやつくグーデリアン。
グシャリと私の手の中で資料が音を立てる。
「あれは、貴様に言わされたんだ!!」
あの夜のことを思い出そうとする自分にストップ。
どうもグーデリアンは、私がドライバーに復帰してからグランプリ直前・直後も関係なくベッドに連れ込もうとする。
久しぶりにレーシングスーツを着た私やその走りに、自分の細胞全てがそそられるんだとおかしなことを言って。
復帰して半年が経過しようとしているのに、そろそろ見慣れてもいいはずだ。
とはいえ、付き合い始めた当初の『オフに入るまではバードキスまで』という約束は、この頭からは消去されていることは間違いないな。
バードキスより、あやうく仕事を忘れそうになるもののほうが断然多い。
もともと、この男にオフ以外は禁欲しろという方に無理があったのだとはわかってはいるが。
今は、私のマシンが表彰台に上がるのが最優先!!
それは同じゴールを目指す者同士、誰よりも分かっているはずなのに・・・
求められることには嬉しいとは思う。
けれど、身体への負担が大きいのだ。
それなのに、グーデリアンは一昨日何度も・・・・ハッ!
今は、そんなことを考える時じゃない!!
「で、何のようなのだ?」
一呼吸置いて、何事も無かった顔を取り繕う。
今は、仕事中だ!
「あぁ〜、そうそう。
すっごく言いにくいことなんだけど・・・ごめん!!」
顔の前で両手を合わせ、突然拝まれる。
な、なんだ・・・?
「去年からすっごく楽しみにしてたんだけど・・・9月8日、夕方くらいまで用事が入っちまってさ」
9月、8日?
去年、初めて自分たちの名前と語呂合わせになる日だとわかり一緒に過ごした。
毎年一緒に過ごそうなと、言い出したのはグーデリアンからだった。
けれど、私も、それを望んでいた。
記念日。
そう名のつく日には、私以上にこだわるグーデリアン。
何ヶ月も前から趣向を凝らした仕掛けをしたり、プレゼントを用意したり。
そのグーデリアンが、記念日に半日とはいえ一緒に過ごせないというのだ。
よっぽどの用事なのだろう。
去年は任せきりだったから、今年は私がと一日の計画を任せてもらっていたのだが・・・
ランチの予約を取り消さなければならないな。
「仕方ないな」
グーデリアンの瞳にも。
私の瞳にも。
その時、お互いの落胆した姿が映っていた。
「お兄様、聞こえてます???」
ヒラヒラと眼前で手を振られて、ハッと我に返る。
データを確認していたはずが、つい昨日のグーデリアンとの会話に気持ちが戻っていた。
「すまない」
リサに覗き込まれ、苦笑。
仕事をしている最中だというのに・・・動揺しすぎだな。
「リサ、9月8日のオフだが、会議等でその日の午前中に振り返れそうなものがあれば調整しておいてくれないか」
パソコンの電源を落とし、凝り始めた肩を軽くまわす。
「午前中、空きが出来たの??」
「あぁ」
私のスケジュール表をめくりながら、リサの表情が曇っていく。
「会議を入れるのは簡単なことですけど・・・次のオフは、次のグランプリが終わるまで確実にないわ。
ゆっくり休める時に、休んだ方が・・・」
スタッフから妹へと変わるリサの表情。
「一人でいても、ついつい仕事のことを考えてしまうからな。
それなら、急がなければならない課題を少しでも早く改善させた方がいい」
「グーデリアンさんにチャンプになってもらうためにね〜」
「私のシュティールの優秀さを証明するためだ!
それに、私とてまだまだ優勝争いに入るだけのポイントは獲得している!!」
言い返す私に、リサはただ笑うだけ。
その瞳が、知ってるんだからと私に語っている気がする。
・・・やはり、気付かれているのだろか。
「じゃあ、私と一緒に街に行ったり、ランチ食べたりは?
たまには、お兄様と二人きりで過ごしたい!」
持っていたファイルを机上に置き、両手を組んでおねだりポーズ。
確かに・・・レースを始めてからは、報告を兼ねたオフを家で過ごすことはあっても、リサと二人でどこかに出かけたりといった時間は年々減少していた。
最近は、グーデリアンと過ごすことが普通になっているしな。
「わかった。
たまには、兄としてリサと過ごそう。
だが・・・夕方には行くところがあるから・・・」
「ランチを食べて、お茶をして、お別れってことね。
了解しました!
ランチの場所は、私が決めていい??」
あぁ、と頷きかけて思いとどまる。
「いや、スローフードの店をその日に予約しているのだ。
リサさえ良ければそこはどうだろうか」
店の名前と場所を言えば、リサも知っている店だったようだ。
了解!と嬉しそうに敬礼。
沈んでいた気持ちが、リサの笑顔で随分救われた。
9月8日。
ちょうどグーデリアンが、リサの宣言どおり1ヵ月サボらずにトレーニングを達成。
グランプリでも、優勝こそ逃したがポイントを確実に獲得できた翌週のオフ。
車は乗らずに来てねと何度も念を押されていたため、待ち合わせ場所の公園前でタクシーから降りる。
「お兄様〜!」
時間の30分前に来たはずが、更にリサの方が早かったらしい。
ベンチに座っていたリサは、見ていた何かを鞄の中に戻して立ち上がり手を振ってくれる。
「すまない、またせたな」
私が駆け寄ると、
「予想どお・・・うぅん、全然待ってないわよ」
にっこりと笑って私の右腕に腕を絡ませる。
「じゃ、お兄様、行きましょうか!」
見上げられて、私も微笑んだ。
「そうだな」
公園から駅までまっすぐに延びた中央通り。
そこをリサに促されて歩きだす。
会話を楽しみながらのウィンドウショッピング。
「グーデリアンを見事に更正させた監督としての御礼と、今まで一緒に入れなかった兄から妹へのお詫びも兼ねて欲しいものがあればなんでも言ってくれ」
「やった〜!!」
喜ぶリサを見ていると、こちらまで嬉しくなるな。
リサの寄りたい店に入っては、服を試着したりアクセサリーを手に取るリサを見守る。
グーデリアンと一緒に歩いていても、買い物を楽しむというより、高カロリーなものに手を出したがるヤツの監視や、女性に軽薄な言葉を掛ける(グーデリアンが言うには挨拶らしい)のを止めさせるのに必死になることが多い。
ゆっくりとショッピングを楽しむのは、久しぶりだ。
どうして私を怒らせることばかりするのだと一度尋ねたら、外を歩いて過ごすより、家の中で二人になりたくなるだろ?と冗談か本気か分かりかねる回答を得た。
何年一緒にいても、グーデリアンの考えを理解するのは難しそうだ。
「・・・しかし、リサ。
車は要らないと言われて来たが、予約時間まであまり時間がないぞ?
これからレストランまで歩いていくのは、無理があるのでは・・・」
リサとのショッピングを楽しみすぎて、私としたことが時計を確認するのを怠っていた。
このまま歩き続けると、通りの終点、駅前広場に突き当たる。
予約しているレストランとは、方向が違う。
購入したものはランチの邪魔になるからと、直接今チームが滞在しているサーキットへ送ってもらう手配はした。
けれど、いくら荷物を減らしても速度が急激に速まるわけではない。
しかもリサの足には、先ほど購入したばかりのビーズ刺繍の凝ったミュール。
長距離を歩くには適していないだろう。
「大丈夫!
ちゃんと用意してますから!!」
嬉しそうにウィンクするリサ・・・なぜかグーデリアンに近い雰囲気を感じる。
気のせい、だな。
「そうか」
私は頷いて、楽しそうに腕を組んで歩き続けるリサに任せることにした。
通りをリサと話しながら歩き続けると、駅前のロータリーに人の輪出来ているのが見えた。
女性ばかりが、数十人。
黄色い悲鳴を時折上げながら、中心に向かって何かを話しかけているようだ。
大道芸でもしているのだろうか・・・?
その輪の中心に向かって、リサが突然手を振って声をかける。
「着きましたよ〜!!」
誰に言っているのだ・・・?
人の輪が乱れ、その先に見えたのは・・・
「え、ハイネル!?」
「グーデリアン!?」
人の差し出すハンカチやシャツ、鞄や色紙にせっせとサインをしているグーデリアンの姿だった。
「・・・どういうことだ、リサ?」
「エヘヘ〜」
どこか得意げな笑顔。
この表情には見覚えがある。
小さい頃、いたずらが成功したときにリサが見せいていたものだ!
しかも、グーデリアンが腰掛けている車はチームの公用車!!
「なぜ貴様が、チームの車を勝手に持ち出しているのだ!?」
グーデリアンに詰め寄ると、苦笑い。
私の後方でリサはコホンと咳払いをすると、
「私が、頼んだの。
だって、グーデリアンさんの車は2人しか乗れないし、3人で一緒にランチに行けないでしょ?」
「3人で、ランチ!?」
何をリサは言っているのだ??
グーデリアンの胸倉を掴み、周りに聞こえないように尋ねる。
(・・・全てはリサの策略なのか?)
(オレだってわかんないんだって!
この車に乗って、ココで11時に待っててって言われて・・・)
(貴様の用事というのは、リサと会う事だったのか!?
まさか、二人は・・・)
付き合っているのか・・・!?
頭が真っ白になり、その場から逃げ出そうとする私の腕をグーデリアンに捕まえられる。
「待てよ、ハイネル!!
リサちゃんも、とりあえず乗って!!」
強引に助手席に押し込まれ、リサもグーデリアンも次々車に乗り込む。
「えぇ〜、もう行っちゃうの!?」
「ハイネルさん、ファンなんです!!」
「せめて握手だけでも〜!!」
車が取り囲まれるまでに発進。
状況が理解できないまま、私は固まっていた。
「着いたぜ、ハイネル」
助手席のドアを開けられ、言われるがままに降りる。
「お兄様、大丈夫?
こんなにびっくりされるなんて思わなくて・・・」
「予約はしてるんだろ?
話は後だ!
まずは中に入ろうぜ」
ぐいぐい背中を押され、入ったのは私が予約していたレストラン。
「ハイネル様、3名様ですね。
お待ちしておりました」
3名?
私は2名で予約をしていたはずだが・・・これも、リサか?
店員の誘導に従い、個室に通される。
「えーっと、まずはご飯食べましょうか?
内容を確認せずに、お兄様が頼んでいたコースを3人分に変えただけなの。
何が出てくるか、楽しみ〜」
私の正面で、ナフキンを膝にかけはしゃぐリサ。
「いやいや、先にちょっとくらい教えてよ〜
オレもハイネルも全然状況がわかんないし」
私の隣では、グーデリアンが肩をすくめて苦笑。
「そうだぞ、リサ!
どういうことなんだ??」
私たちの質問は聞き流されているのか、運ばれてきたスープを早速口に運ぶリサ。
食べ終わるまで、話す気は無いらしいな・・・
私はため息をつくと、グーデリアンにも食事を採るよう促した。
次々出てくる料理は、お兄様が選んだ店だけにどれも美味しいものばかり。
人口調味料を一切使用せず、自然の旨みを利用したコース料理。
最後の果肉たっぷりストロベリーアイスクリームを食べ終わり、コーヒーを頂いていると2人が無言で語ってくる。
早く、早く、早く、早く、早く!!って。
分かってますってば!!
預けていた鞄を店員さんから貰い、中から封筒を取り出す。
「はい!
グーデリアンさん!!」
「えぇ!?
こ、ここでっ!?」
飲んでいたアメリカンコーヒーを盛大に噴出すグーデリアンさん。
正面じゃなくて良かったわ!
「行儀が悪いぞ、グーデリアン!」
その横で呆れた顔のお兄様。
この中身がわかっても、その呆れた顔で私をしかる程度にしてくださいね〜
そんな願いを込めて、わざと差し出していた手の方向を変える。
噴出したコーヒーの後始末に負われていたグーデリアンさん。
拭ってくれる店員さんを足蹴にするわけにもいかず、目の前でレイノモノが兄に渡るのを見ていることしか出来ない。
「なんだ、これは???」
「グーデリアンさんが、ずっとトレーニングをこなす事になって、しかもお兄様との約束をずらしたモトよ」
「中を見るぞ、リサ!!」
わざと封をしなかったから、その中身は簡単に兄の眼に触れてしまう。
「あああああぁぁぁぁぁぁ〜!!」
グーデリアンさんの絶叫にも、
「煩い!」
お兄様は全く取り合わない。
中から出てきたものに、今度絶叫するのはお兄様の方だと思いますけど〜
私は美味しいコーヒーを一人優雅に頂き続ける。
「なっ!なっ!!」
あら、絶叫、じゃなかったわね。
口をパクパクさせて、声にもなってない。
その中身と私を見比べて、お兄様は顔をしかめる。
「リ〜サ〜!」
ほーら、来た!
絶対怒られるってわかっていただけに、私は先手必勝!!
コーヒーをソーサに戻し、
「ゴメンナサイ」
上目遣い、アーンド、声弱く震えさせての謝罪。
「うっ」
次に続くはずだったお説教が、その喉の中で消化不良を起こしながらもなんとか飲み込まれていったようね。
「こ、今後は、勝手に持ち出すんじゃないぞ。
しかし、コレとグーデリアンとどう繋がっていくのだ、リサ?」
「もーらいっ!」
私に意識が集中したせいで、手が疎かになっていたお兄様。
その手から、グーデリアンさんが封筒ごと掠め取っていく。
私はあえて間に入らず、事の成り行きを見守ることにした。
とりあえず謝ったし、ここで私も入っちゃうとまたお兄様の怒りの標的になりかねないんだもの。
「ハイネル、かっわいい〜!!」
「返せ、バカモノ!!」
「ダメダメ。
コレは、報酬なんだから!!
コレも、コレも、可愛すぎ〜!!」
取り出したものに、次々チュッチュッと音を立ててキスまでしているグーデリアンさん。
立ち上がったお兄様を
「行儀がわりぃぜ〜」
と軽くあしらいながらニヤニヤ。
「いいから、寄こせ!!」
それでも取り返そうとお兄様が手を伸ばすと、すっとその腕を逆に捕らわれて肩を抱かれホールド。
「オレの小さい頃の写真なんてさ。
知り合いのやつらが小遣い稼ぎで結構流出させてたり、家族が自慢したがりだから逆にメディアに配ったりで出回ってるけど。
こーんな小さい頃からのハイネルの写真って、お宝もんだろ?
レース始めてからのはネットでも流れてるけど・・・」
グーデリアンさんの手にあるのは、ハイネル家のアルバムデータから私がプリントアウトしたお兄様の幼少の写真4枚。
「寄こせといっているだろうが!!」
食べたくないご飯を食べさせられて顔をしかめている2歳。
書斎で本を手にポーズをとってる4歳。
暖炉の前でクリスマスを楽しんでいる6歳。
生まれたばかりの私を覗き込んでる8歳の写真をチョイス。
顔にコンプレックスを持っている兄の性格もあるし、わざわざメディアに流そうとするような人も身近にいないからどれもが希少価値!
始めはどこまでグーデリアンさんが欲しがるか分からなかったし、一日一枚ずつクリアする度に渡そうかと思っていたんだけど〜
あまりにテンション高く交渉に臨まれてしまって、数を一週間で一枚に減らしてみたの。
今日の時間を空けて欲しいって言うのには、かなり渋られたけど結局契約成立。
この日を逃すと、兄と一緒にオフを過ごすことが出来なかったから無理を通しちゃった。
お兄様の性格上、絶対自分から小さい頃の写真をグーデリアンさんに見せることはないってグーデリアンさんも分かってるからかな?
グーデリアンさんの腕の中でもがきながらも、なんとか取り返そうと頑張っているお兄様。
そんなに嫌がらなくてもいいのに〜
「ちなみに、コレがギンナジウムに入学する直前のお兄様の写真です。
今日の時間のための、特別大放出〜」
にっこり笑って、ヒラヒラと目の前で振りながらグーデリアンさんに見せびらかす。
ギンナジウムに行くことになった兄を中庭で記念撮影したもの。
中性の魅力全開で、先輩方に次々告白される直前の写真ね。
線も細くて、今以上に色も白くって、そのくせ唇は悔しいくらいのピンク色!
メガネもかけてないし、期待に胸を膨らませ、カメラに向かって無防備な笑顔を向けている。
「うわ〜!!!!
早く、早く!!
リサちゃん、ソレ早く見せてよ〜!!!!!」
ガタガタ椅子を蹴る勢いで立ち上がるグーデリアンさん。
「やめんか!リサ!!!
そんな写真を、持ち出すな!!!!!」
お兄様も、グーデリアンさんの腕から逃れて私へ机越しに迫ってくる。
もう、2人とも騒がしいな〜
私は2人からとられないように、それを鞄の中にしまった。
「まだ、お別れするには早いでしょ?
夕方まで、お買い物に付き合って!
グーデリアンさんには、一ヶ月のトレーニング完全遂行と今日15時まで一緒にいたらって約束しましたよね?
コレは、今日のお別れのときにお渡ししまーす!
お兄様も、欲しいもの買ってくれるんでしょ?
リサ、冬のコートが欲しい〜」
にっこり笑顔でおねだり。
「了解!」
写真をさっさと上着の内ポケットにしまうグーデリアンさん。
「それどころでは、ない!!」
お兄様は、まだまだ写真に未練があるみたいだけど・・・
「ひどい、お兄様!!
同じチームにいるのに、オフはちっともリサと遊んでくださらないし。
長期休暇中でも、報告を兼ねてしかドイツに来てくださらないし・・・寂しかったのに!!!
たった半日のデートもしてくださらないの??」
ウルウルと瞳を潤ませれば私の勝利!
お兄様はまだ、自分の写真の価値には気づいてないようだけど、きっと夕方から2人きりになったらグーデリアンさんが種明かしすることになるだろうし。
せっかくのオフを楽しまなくっちゃ!
その日の15時を過ぎるまで。
私の右腕にはお兄様、左腕にはグーデリアンさん。
擦れ違う人から、嫉妬と羨望の眼差しを一身に受けながらお買い物。
世界広しとは言うけれど、サイバーフォミュラ界の凸凹コンビ。
グーデリアンさんとお兄様と三人でお買い物できるなんて、私くらいのもの。
これこそ、イモウトの特権!!
2人のオニイサマには、もっともっとイモウトのことも考えていただかないと、ね。
AYAKAさんの描くリサちゃんは、いつもちょっと小悪魔的なところがあって、それでいて憎めないとってもキュートな女の子だと思います。小悪魔的といいながらも、お兄ちゃんのことを心配して、『兄に出来ないのに自分に出来ることなんてないんじゃないか』と思ったりするけなげな女の子らしいところもあるんですよね。(それからほどなくして実はあるんだって気づいた時の彼女の『小悪魔の本領発揮!』的なところと、野生の勘(笑)で不穏なものを感じ取ったらしいグーのやりとりも味があっていいですよね(笑))
グーデリアンに対しては恋人の顔とは別に監督の顔も見せることが出来るハイネルも、妹相手にはやっぱり弱いのがほのぼのしてます。
ハイネルのプライベートな写真で頑張っちゃうグーも、相変わらずハイネルのことが大好きなのがよく伝わってきて嬉しかったです。
ハイネルのプライベート写真・・・・誰でも欲しいですよね。私も相当欲しい!(笑)
世界一カッコいい(タイプが違いすぎてどちらかを一位にしぼるのは無理でしょう!)兄二人を連れて颯爽とショッピング、なんてまさにリサちゃんだけに許された特権ですよね。彼女なら、世界中の女性の妬みや恨みをかいかねないそんなポジションにいても、あの性格で許されちゃいそうです。
AYAKAさん、いつも素敵なお話を読ませて下さって本当にありがとうございます!