阪急のフェアライドシステムをめぐる動き
1999. 4. 6


 本題に入る前に、まず阪急が実施している不正乗車防止システム「フェアライドシステム」の現状について説明しましょう。

 フェアライドシステムとは、定期券に駅データ・日時データ・行なった処理のデータ(入場・出場・精算・券売機での券購入)の磁気情報を書き込み、定期券裏面の印字スペースに日付を印字するというものです。
 定期券の区間外から乗車する時は、券売機に定期券を入れて、定期券の区間までの値段の切符を買って、その切符で乗車することが出来ます。
 入場していない定期券で出場することなどは出来ません。また、二時間以内に連続して入場する事や、連続して精算する事、連続して券売機に入れて切符を買う事も出来ません。
 フェアライドシステムの詳細については、また日を改めて別のコーナーを設けるつもりです。

 フェアライドシステムは、今までは阪急線内のみの定期券が対象で、他社連絡定期券については対象外でした。(阪急線内の、区間の連続する複数枚の定期券をもつ乗客の場合も対象外)
 阪急では、フェアライドの対象の定期を「裏が銀色の定期券」、対象外のものを「裏が黒い定期券」と呼んで区別しています。
 これは、阪急のフェアライドシステムが、定期券の裏面に印字を行なうという、他社と異なる特徴をもった方式であるためです。

 以上が、フェアライドシステムの大まかな現状説明です。

 さて、阪急は、裏面の黒い他社連絡定期券についても、連続入場・連続出場・連続精算が出来ないようにすると発表しました。その案内のちらしの一部を引用いたします。(4月5日に西院駅でもらったちらし)

 定期券を正しくご利用いただくための「フェアライドシステム」の適用外でありました他社連絡定期券(裏面が黒や茶色の定期券)につきまして、今般、連続使用の防止を行います。

他社連絡定期券(裏面が黒や茶色の定期券)にご利用情報を磁気記録いたします。(裏面への印字は行いません。)
 次のように連続して定期券をご利用になった場合、お取り扱いできなくなりますのでご注意下さい。
 (1)改札機で入場後、つづいて改札機で入場したとき
 (2)改札機で出場後、つづいて改札機で出場したとき
 (3)精算機で精算後、つづいて精算機で精算したとき

 また、神戸高速鉄道、山陽電鉄、神戸電鉄、阪神電鉄の各社が、1999年10月より、阪急方式の(裏面印字をおこなう形式の)フェアライドシステムを導入する事になりました。これにともない、阪急とこれらの会社間の連絡定期券は、「裏が銀色の定期券」になり、フェアライドシステムが適用されることになります。
 これも、先程の案内のちらしから引用いたします。

 本年10月1日(金)より阪神電気鉄道、山陽電気鉄道、神戸電鉄、神戸高速鉄道では、定期券を正しくご利用いただくための「フェアライドシステム」を導入いたします。これに先立ち、1999年4月以降、定期券の券紙の表面の地模様を薄桃色に、裏面を黒色から銀色に順次変更いたします。
 なお、これらの社との連絡定期券の裏面への印字は10月1日以降に行います。

 これらの各社は、10月1日からスルッと
KANSAIに加盟する予定で、現在それにあわせて改札機の新設、更新を行なっています。それで、同時にフェアライドシステムの導入の運びとなったのでしょう。

 京阪や
JR西日本、近鉄などが行なっている不正乗車防止システムでは、定期券の裏に印字を行ないません。今まで裏面印字を行なうのは阪急だけだったので、将来連絡定期券で不正防止システムが行なえるようにする時には裏面印字方式はなくなるだろうという見方がされていました。(もっとも、JR西日本以外の関西の鉄道は、阪急も含めて出入場記録の磁気データフォーマットはすべて同じです。またJRも、この私鉄型のフォーマットを読み書きする事が出来、現在実際に行なわれています。詳細につきましては、これまた一つコーナーを設けるつもりですのでお楽しみに)
 今回、山陽や阪神が裏面印字方式を取り入れた事は、この予想を覆すもので、近い将来、不正防止システムが共通化される際にどのような形式になるのか非常に興味深いものです。



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1999年 4月 6日 saiin@mbox.kyoto-inet.or.jp